「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている(撮影/写真部・加藤夏子)
「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている(撮影/写真部・加藤夏子)

●徳力基彦(とくりき・もとひこ)/1972年生まれ。NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、現在はアンバサダープログラムのアンバサダーとして、企業のソーシャルメディア活用の啓発活動を担当。著書に「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)など(撮影/写真部・加藤夏子)
●徳力基彦(とくりき・もとひこ)/1972年生まれ。NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、現在はアンバサダープログラムのアンバサダーとして、企業のソーシャルメディア活用の啓発活動を担当。著書に「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)など(撮影/写真部・加藤夏子)

 「炎上」や「バカッター」。SNSに対しては、こうした負のイメージを抱きがちだ。そのためか、これらのツールを“実名”で利用しているビジネスパーソンは、少数派かもしれない。

【写真】「note」プロデューサー・徳力基彦さん

 しかし、SNSはうまく活用すれば仕事やキャリアアップにつなげることが可能だという。文章やマンガなどを投稿できるウェブサイト「note」のプロデューサーである徳力基彦さんは、自身の著書「自分の名前で仕事がひろがる 『普通』の人のためのSNSの教科書」(朝日新聞出版)で、「組織に属するビジネスパーソンこそ発信しないともったいない」と説いている。

 「バズる」ことも、「PV・フォロワー数を伸ばす」必要もない。芸能人やインフルエンサーでもない「普通の人」が、SNSを仕事につなげる活用術とはなにか。徳力さんに話を聞いた。

※便宜上、本記事では「Facebook」「Twitter」「ブログ」などウェブサービスによる発信を「SNS発信」としています。

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■SNS発信は仕事の役に立つ

「実名で炎上したら、会社から注意されるかもしれない」
「他人が興味を持つようなネタなんてない」

 そんなふうに、ネット上での発信を重く考えすぎている人がいます。そのためか、日本ではSNSやブログを実名で利用する人の割合が、海外に比べて圧倒的に低い。Twitterにいたっては、匿名が7割を超えています。企業によっては炎上などのリスクを恐れ、個人の発信を禁止していたり、推奨していないところもあります。

 新卒の新入社員が、企業から内定をもらったとたんにSNSのアカウントを削除するケースをよく聞きます。これは本当に残念です。確かに学生が企業から評価されるような投稿を日常的にしているとは考えづらい。飲み会などではしゃぎすぎて、見られては困るようなものもあるかもしれません。それらの投稿を消して、入社後にまたSNSを再開してくれればよいのですが、周りの上司や同僚でSNS発信をしている人は少ないのが現実です。そのため、多くの企業では、「SNSをやってはいけない空気」が蔓延している。せっかくデジタルネイティブ世代が入社しても、“昭和の働き方”に上書きされてしまうのです。

 しかし、SNS発信は仕事の役に立つ。ビジネスパーソンこそ発信しないともったいないのです。

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