阪神時代の歳内宏明 (c)朝日新聞社
阪神時代の歳内宏明 (c)朝日新聞社

 今月6日、ヤクルトは昨年まで阪神に在籍しており、今シーズンは四国アイランドリーグの香川でプレーしていた歳内宏明の獲得を発表した。香川での成績は9試合に先発して5勝0敗、防御率0.42、奪三振率10.69、WHIP(1イニングあたりに出塁を許した数)0.53という圧倒的なものであり、投手陣にコマ不足に悩むヤクルトでは近日中のデビューが予定されている。

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 過去にNPBの球団を退団し、独立リーグを経て復帰した例は決して多くはないが、今年はアメリカのマイナーリーグが行われておらず、新外国人の獲得が難しいという現状を考えると、歳内の獲得というのは面白い補強であることは間違いない。そこで今回は他にもNPB復帰を狙える選手はいないのか、探ってみたいと思う。

 まず候補になりそうなのが、先日BCリーグの栃木に再入団した北方悠誠だ。2011年のドラフト1位でDeNAに入団したものの制球難から一軍での登板なしで退団となり、ソフトバンクの育成選手として1年間プレーした後は独立リーグでプレー。そこで大幅なスピードアップを果たし、昨年シーズン途中にドジャース傘下のマイナーリーグへの入団を果たしている。先述したように今シーズンはマイナーリーグのシーズンが中止となったことで、9月から昨年途中までプレーしていた栃木に復帰している。

 ここまで2試合の登板だが、13日に行われた試合では最速157キロをマークするなど、そのスピードは間違いなくNPBに入ってもトップクラスだ。制球はアバウトで、先日の試合ではどこかを痛めた様子で途中降板したのは気がかりだが、状態が上がってくればまだまだスピードが伸びてくる可能性もある。ドジャース傘下のマイナーリーグに所属したまま栃木でプレーしているため、獲得するとなれば移籍の手続きは必要となるが、これだけのスピードを誇る投手はそうはいないだけに、リリーフが苦しい球団にとっては検討の余地はあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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