フワちゃんは目下大ブレーク中のお笑いタレント。個性的なファッションに身を包み、収録中にも自撮り棒で写真を撮り、自由奔放に振る舞う強烈なキャラクターの持ち主だ。

 しかし、フワちゃんは「実は賢い」という裏の顔があることも徐々に知られるようになっている。小学生の頃にアメリカに住んでいたことがある帰国子女で、英語がペラペラ。当意即妙なコメントをする腕があり、頭の回転は速い。見た目だけなら奇人変人のように見えて、実は意外としっかりしているというのは、カズレーザーや兼近にも共通するものがある。実はコメンテーター向きのタレントなのだ。

 また、福田は、3時のヒロインでネタ作りを担当するトリオの頭脳であり、関西大学卒業のインテリでもある。吉本興業アイドルグループ・つぼみ大革命のライブの構成やネタ作りにも携わるプロデューサー的な一面もある。そのコテコテの関西弁のしゃべりの切れ味は、ハイヒールリンゴに続く関西女性コメンテーター枠にふさわしい。

 一昔前までは「芸人はお笑いだけをやっていればいい。政治や社会のことに口出しする必要はない」という風潮が強く、芸人が時事問題について自ら学ぼうとしたりすることもなかった。

 だが、若い世代の芸人の間では、そのような意識も変わりつつある気がする。上の世代に比べて「芸人とはこうあるべきだ」という固定観念がなく、社会的なことに興味を持っている人も多い。今の時代、若手芸人こそがコメンテーターに向いているとも言えるのだ。

 第七世代芸人はすでにお笑い界を席巻しているが、今後はコメンテーターの世界でも第七世代の躍進が始まるのかもしれない。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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