(左)カズレーザー(C)朝日新聞社/(右)EXIT兼近(GettyImages)
(左)カズレーザー(C)朝日新聞社/(右)EXIT兼近(GettyImages)

 ここ数年、ワイドショーや情報番組で芸人のコメンテーターを見かける機会が増えてきた。その中で特に活躍が目立っているのは、カンニング竹山、大久保佳代子、小籔千豊といったアラフィフ世代の芸人だ。芸人でありながら、自分自身の人生経験をベースにして、しっかりした社会人目線のコメントができるのが強みだ。

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 一方、最近ではもう少し若い世代の芸人コメンテーターも注目されるようになってきた。その代表格がメイプル超合金のカズレーザーである。カズレーザーは『とくダネ!』にレギュラー出演しており、ほかの情報番組に呼ばれることも多い。クイズ番組では常に好成績を収めるほどの豊富な知識があり、どんな分野の話題でも忖度なしに率直で鋭いコメントをすることで知られている。

 未成年との飲酒が報じられた山下智久と亀梨和也が事務所から処分を受けたことについて、腰の引けた擁護気味のコメントをする人が多い中で、カズレーザーだけは「処分は厳しくはない。やっていることは狩野英孝と同じで、狩野は半年休んだのに山下は休まなくていいのか」という趣旨の踏み込んだコメントをした。

 また、カズレーザーに続く逸材として注目されているのがEXITの兼近大樹だ。EXITは報道番組の『ABEMA Prime』(AbemaTV)で木曜日のMCを担当している。

 兼近は派手な外見のチャラ男キャラで知られていて、本人も自分に学がないことは認めているものの、余分な偏見や恐れを持たずに、思っていることを正直に言う姿勢がコメンテーターとして評価されている。

 カズレーザー、兼近に代表されるように、若手芸人がコメンテーターとして起用される際には、大人びた達観したようなコメントではなく、等身大の若者としての本音が求められているようだ。いい意味で空気を読めない芸人こそが、そのポジションにふさわしい。

 若手芸人のコメンテーター参入の動きはまだまだ続く。TBSの朝の情報番組『グッとラック!』が10月からリニューアルされ、コメンテーターとしてフワちゃんと3時のヒロインの福田麻貴が加わることが発表された。どちらもいま活躍中の若手芸人であり、兼近と並んで「第七世代」と呼ばれる世代にあたる。最も勢いのあるこの世代が、ついにコメンテーターとしても台頭してきているのだ。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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実は意外としっかりしているのはコメンテーター向き