阪神・近本光司 (c)朝日新聞社
阪神・近本光司 (c)朝日新聞社

 早くも折り返しを過ぎた今年のプロ野球ペナントレースだが、セ・リーグでは連覇を目指す巨人が2位以下に大差をつけて首位を独走している。このまま危なげなくゴールテープを切るのか、それとも連覇に待ったをかけるチームが現れるのか、これまでの戦いぶりと今後の上積みから探ってみたいと思う。

【ファンが選んだ平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの選手!】

 まず巨人自体のチーム状態であるが、得点、失点、本塁打、防御率はリーグ1位の数字を残してはいるものの、投打ともに全てが順調というわけでは決してない。先発投手ではエースの菅野智之、20歳の戸郷翔征が見事な成績を残しているが、それ以外は不安定な投球が目立つ。戸郷も高校卒2年目で、一年間を通して投げ切った経験はないため、ここから調子を落とすことも十分に考えられるだろう。

 リリーフでは抑えのデラロサが故障から復帰し、セットアッパーの中川皓太、トレードで加入した高梨雄平やベテランの大竹寛も安定しているだけに、新外国人のサンチェス、実績のある田口麗斗、故障で離脱したメルセデスあたりの先発陣がどこまで持ち直してくるかがポイントとなりそうだ。

 一方の打線は主砲の岡本和真が現時点でホームランと打点の二部門でトップを走ってはいるものの、セ・リーグの打率上位10人には一人もランクインしていない。特に坂本勇人丸佳浩の調子がなかなか上がらず、そのことが先日の編成会議で出た即戦力の野手を最優先するという方針に繋がったと考えられる。

 ただここへ来てようやく2人ともに当たりが出始めたのは大きなプラス材料だ。トレードで加入したウィーラーと今年が正念場と見られていた中島宏之のベテラン二人も存在感を見せており、松原聖弥、北村拓己といった新戦力の台頭が見られるのも心強い。全体的な層の厚さはやはり頭一つ抜けている印象だ。

 他の5球団を見てみると、まず対抗の一番手になりそうなのはDeNAだ。7月中旬には6連敗を喫したものの、それ以降は持ち直し、8月以降は勝率5割以上をキープしている。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
DeNA以外で巨人を脅かすのは…