親権者の決め方についてもこう述べる。

「親の状況や子の状況を総合的に判断して決めるので、子を連れ去った側が自動的に親権者になるわけでは決してない」

 EUからの非難決議が出されたことについて見解を問うと、

「一つの意見としては受け止める。だが、制度に関していえば、国境をまたぐ事案も国内の事案も、条約違反であるとは認識していない」

 と答えた。ただ、「その使い勝手や運用に対して、さまざまな批判があることは認識している」とも認める。

「ただちに違憲や条約違反とはならないと捉えているが、未来永劫、今の法律が100%正しいというわけではない。今後も意見を受け止めていく」(同前)

 集団訴訟にまで発展した「連れ去り問題」は、別居後の親子関係を変える契機となるのか。裁判のゆくえが注目される。(取材・文=AERAdot.編集部・飯塚大和)