私はエネルギッシュなひとが好きだ。

 でもエネルギッシュなひとというのはすべての力を自分に傾けてくれるわけではないのだ。

 100%私に笑顔を向け、100%私にあっかんべーと舌を出す。

 そんな200%のエネルギーで生きている人もいるのだ。

 そういうことが、自分の頭の中で理解できたからです。

 不満分子というものは、本当にお互いの嗅覚でくっつくものです。

「あのひとだけ、いい思いをして」

 そんな不満分子が3人くっつくと、事実でないことがどんどん出回るようになる。全体の空気も悪くなる。私は経験上、そういう基準を持っています。こうなっては、一緒に仕事をやっていくことはできません。

 しかしその彼女はそれからほどなくして、自らがついた「うそ」によって勤め先にはいられなくなりました。やはりどこかで神様は見ている、ということがあるのかもしれませんね。

 ひとの悪口などというものは、調子に乗ってしゃべるものではありません。また、悪口の場に同席するのもよくないことです。それは結局その悪口を止めないで容認していたということなのですから。

 ましてやそのことをひとに密告するなどというのは、「私はスパイです」と言っているようなもの。どういう意図があるにしても、告げ口をするときのひとの顔というものは、本当に醜いものです。

 ひととひととが気持ちよく生きていくためには、お互いに尊敬し、お互いに配慮していくことが大切です。私はこの一件から多くのことを学んだような気がします。

【しなやかに生きる知恵】
悪口に加担しない、そして、悪口を野放しにしない

小林照子(こばやし・てるこ)
美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『なりたいようになりなさい』(日本実業出版社)、『美しく生きるヒント』(青春出版社)他著書多数。YouTubeにて「小林照子TV」がスタート

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小林照子

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小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数

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