目の前は海という環境に会社がある。潮風を感じるこの場所でアイデアが生まれ、地元漁港であがる新鮮な魚が離乳食に(写真提供:ディーグリーン、以下同)
目の前は海という環境に会社がある。潮風を感じるこの場所でアイデアが生まれ、地元漁港であがる新鮮な魚が離乳食に(写真提供:ディーグリーン、以下同)
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「mogcook(モグック)」に興味を持って入社したIターンスタッフが業務のメイン担当を務める。欠かせないのは地元の人たちの協力だ
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白身・赤身の3種類の魚が、10g×計15パック入る「お魚だいすきコース」。お魚図鑑やレシピカードも同梱されて届く
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新鮮なままカットとスチーム加熱をし、冷凍。魚そのものがわかる状態にもこだわる。温めてすりつぶすだけでもよく、色々なアレンジもできる
新鮮なままカットとスチーム加熱をし、冷凍。魚そのものがわかる状態にもこだわる。温めてすりつぶすだけでもよく、色々なアレンジもできる
絵を描くのが好きだったことがデザイン業につながったという東さん。「漁師だった父も絵が好きで、よく一緒に描いていました」
絵を描くのが好きだったことがデザイン業につながったという東さん。「漁師だった父も絵が好きで、よく一緒に描いていました」

気候変動やさまざまな社会問題が地球規模で起こるなか、これからの時代はあらゆるジャンルで「サステナブル(持続可能な)」という視点が欠かせない。この先も持続して豊かに暮らせる社会をつくるために、どのような課題を解決していけばいいのか。地元の魚を使った離乳食材のサービスで、地域の産業や子育て、食育を応援しているデザイン会社「ディーグリーン」(三重県紀北町)代表取締役の東城さんに話をうかがった。(※出典「東海の大学力2021」)

【写真で見る食育の取り組み】

ママもパパも楽しみながら赤ちゃんにおいしい魚を

 三重県南部の漁師町、紀北町にあるデザイン会社「ディーグリーン」では、ユニークな事業を行っている。地元で獲れる魚を使った離乳食材の通販サービス「mogcook(モグック)」だ。旬の魚を適量、真空パックにし、他の食材と合わせてキット化したものを、管理栄養士監修のレシピと一緒に全国へ届ける。

 考案した東城さんは、「初めての離乳食作りを楽しくする、がコンセプト。ママ・パパの負担を減らすと同時に、ひと手間かけることで作る楽しさも味わってほしい、赤ちゃんの時からおいしい魚に親しんでほしいという思いも込めています」と話す。

 そもそもは地元の産物を知ってもらうためのアイデアだった。

 ロンドン留学から故郷へ戻り、始めたデザイン業。父も漁師だった東さんのもとには、魚に関わる仕事が多く舞い込んだ。「魚が売れない。何かいい方法がないか」との相談に、干物のパッケージを変えるなど試みるが、表面的なものでしかない。模索を続けていた時、東京に住む同郷の後輩に子どもが生まれ、「昔食べていた旬の魚を離乳食で食べさせたいけど、なかなか難しい」という言葉を聞いてピンときた。

「これは面白いかも」

 工場探しに奔走し、ふたを開けてみたら、最も反響があったのはやはり東京、関東エリアだった。魚が離乳食によい良質なたんぱくであることは知られているが、都会暮らしでは適した魚の種類がわからず、できれば少量だけほしい。「キットになっているとうれしい」といった声が多く聞こえた。

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