ジャンパーひざは、そのほとんどが膝蓋骨の下側にある腱が損傷する「膝蓋腱炎」です。とくに着地時にひざが内側に入る傾向が強い人では、膝蓋腱の内側にねじれをともなうストレスがかかりやすいため、膝蓋腱炎が起こりやすくなります。また一部は、膝蓋骨の上側にある腱のほうが損傷する「大腿四頭筋腱付着部炎」である場合もあります。診断は、通常はX線検査では写らないため、MRI(磁気共鳴断層撮影)検査で炎症の所見を確認します。

 ジャンパーひざの治療は、局所の安静が基本です。オフシーズンがある競技では、オフに2、3カ月ほど徹底して負荷を減らすと効果的です。かつては炎症をおさえるためのステロイド注射がおこなわれたこともありますが、かえって腱が切れることもあるため注意が必要です。安静期間に筋力低下やひざ関節の可動域や柔軟性の低下が生じないように、常にトレーニングを怠らないことが大切です。

 つぎに、「シンスプリント」についてお話しします。シンスプリントは別名を、脛骨(けいこつ)過労性骨膜炎と呼びます。おもにランナーに発症しますが、成長期の中高生や、一般の人でもハイキングなどに行った後などに起こる場合があります。ふくらはぎにある下腿三頭筋のうちの一つであるヒラメ筋が、脛骨に付着している部分にある骨膜が、繰り返し強く引っ張られることで炎症を起こします。その結果、下腿の下3分の1くらいの内側に、痛みが表れます。脛骨の疲労骨折に似ていますが、痛みの範囲が広く、足関節に力を入れて動かしたときに痛くなるのが特徴です。MRIやエコー検査により、鑑別診断をつけておく必要があります。

 治療は、通常2、3カ月程度の安静が基本です。痛みが強ければ、アイシングをしたり、消炎鎮痛剤の湿布や内用薬を用いたりします。下腿三頭筋のストレッチをおこなって、緊張を緩めると効果的です。靴底が軟らかい靴を着用しましょう。また、足が内反すると悪化するため、走行フォームを改善したり、扁平足(へんぺいそく)の場合には土踏まずのアーチを保つインソールを利用してみたりしてもよいでしょう。シンスプリントも繰り返し起こりやすいため、再発に注意しましょう。

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