コロナ危機でマンション価格はどうなる?写真はイメージ(C)朝日新聞社
コロナ危機でマンション価格はどうなる?写真はイメージ(C)朝日新聞社

 コロナによって、不動産市場は逆回転を始めた。マンションの売却を考えていた人にとって、これからどのくらい価格が下落するかは大いに気になることだろう。

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 私は30年以上にわたってマンション市場を眺めてきた。2度のバブル崩壊も市場にかなり近いところでつぶさに目撃した。今回、私は3度目のバブル崩壊を経験することになるだろう。売り手にとっては非常に厳しい局面になることは間違いないが、過去2回の経験則から想像できることもある。

 結論を言えば、まだマンション売却のチャンスは残されている。しかし、それには賢明で迅速な判断が必要になる。今回は私が過去に経験したさまざまな市場の現象を思い出しながら、今からでも上手にマンションを「売り抜ける方法」をお伝えする。

 2013年以来、日本の不動産は局地バブルで、地域限定で価格がどんどん高騰した。その上昇エリアのほとんどが東京都とその近辺だ。

 そんな中で発生した、このコロナ危機。「そのうち売ろう」と考えてマンションを保有していた人はさぞ不安なことだろう。はっきり申し上げて、いちばん高く売れる時を逃したのは、厳然たる事実である。18年~19年の高値で売却できる機会は、すでに失われた。

 では、どうすればいいのか。答えを言ってしまおう。それは「今すぐ売りなさい」ということだ。

 この先、マンションの価格は下がる一方である。コロナが収束すれば、「回復バブル」というべき好景気が一瞬は来るかもしれない。しかし、それはしょせんコロナで減じた消費が戻ったにすぎない。

 リモートワークでも仕事が回ることを知ってしまった多くの企業は、都心に余分なオフィススペースを借り続けようとは考えなくなる。それにともない、多くの会社員はわざわざ住居費の高い都心に住まなくても、日常の業務をこなせるのではないかと思い始めるだろう。

 こうしたコロナ後の価値観の変化は、都心やその周縁のマンションに対する「根拠なき値上がり」への冷めた目線にもつながる。たとえば、川崎市・武蔵小杉駅のタワマンの価格が山手線内の東京・文京区の板状マンションと同レベルである、という異常さにも気づかされるはずだ。

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大手仲介業者には注意すべし