個人情報を出さずに、メールアドレスだけでマンション別の相場観を示してくれるサイトもある。利用するなら、こちらの方がいい。だが、今は相場が大きく変動している時期。これらサイトの数字はコロナ以前のデータを基にしているのでやや古い。実際に売れる価格よりも、少し高い額が提示されてくると思っておいた方がいい。

 次に大事なのは、信頼できる不動産業者を見つけること。

 経験が豊富な業者なら、エリアや物件ごとの「売りやすさ」と「売りにくさ」がわかる。相場通りの価格で市場に出しても、短期間で買い手がつくエリアもあれば、時間がかかるエリアもある。売りやすいエリアなら相場通りで成約する可能性が高い。逆に、売りにくいエリアの場合は、最初から少し安くして短期間で売り抜けた方がいいだろう。そのあたりの判断は、経験値の高い仲介業者の判断に頼った方が無難だ。
 
 きちんと仕事をする仲介業者を見極めるのはかなり難しいのだが、自分の物件がどのエリアかを丁寧に説明し、売り抜ける時期も明示してくれるかはひとつの目安となるだろう。相場が落ちる前に売り抜けるためには、多少は割り引く覚悟も必要だ。やたら高く売れることをアピールしてくる業者は信用しないほうがいい。

 そして、この時代だからこそ試してほしい方法がある。思い切って「相場の5%安」で売り出してみることだ。

 前述したように、これからのマンション売却は時間との勝負だ。時間がたてばたつほど相場観は切り下がっていく。「相場通り」にこだわり続けて時間ばかりかかってしまった結果、当初の相場観が1割以上切り下がってしまうこともあり得る。確実に売り切るためには、「5%」はあえて捨てるべきだと思う。

 ただし、その判断はエリアや物件次第でもある。東京都心の人気エリアなら相場通りの価格でも買い手が現れる可能性が高い。コロナ騒ぎでも富裕層の懐は傷んでいないことが多いからだ。富裕層は「ここに売り物が出たから買っておこうか」というケースが多く、「住むため」のマンションを血眼になって探しているわけではない。

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「すぐに売る」ために準備するもの