テレビ局もひとつの企業だから企業としては間違っていないわけですよね。間違っていないけど、先に若い子の数字取らなきゃ、お金がかからないように数字取らなきゃってなって、クリエイティブっていうことを全部カットしちゃっているんですよね。「俺はこういう面白いものを作りたい」とか、「叱られてもいいからバカみたいなお笑い番組を作りたい」とか、そこって一番大事な事なんだけど、そこじゃなくなっている。それよりも先に予算を減らす!コアの数字を上げる!それには若手を起用するんだ!ベテラン出したらダメだ!出すなら若手と絡ませろ!若い子だ!そして苦情が来ない!怒られない!ってなるわけです。

 そういう番組を制作する側のカラクリであって、若手が台頭してきているのに、印象操作じゃないけれど、ランキングだけを見て「世の中、こうなんだ」って真実だってまかり通っていくというわけです。

 ここで、もしかしたら今後怖いなって、個人的に思っているのが、15歳から49歳のコアをターゲットにしたけど、そんなにモノが売れないじゃないかってなって、50代、60代のほうがモノが売れるんじゃないか?だったら、コアじゃなくて、元のファミリーに戻せって!ってなったとき。いま起用されている若手はごっそり切られますよね。いまは、僕ら中堅からベテランがごっそり切られる時代に入ってきているんだけど、逆にコア層を狙うのが違うってなってなったときに、一転、若手たちがごっそり切られることになる。

 そんなの、全て世の中の事情じゃないですか。コロナの影響とか経済の衰退もあるんだけど、いまの若手の起用って、事情に動かされているだけで、若手たちを本気で育てようとしているのか?っていう大きな問題もありますよね。

 本来あるべき姿としては、テレビとかメディアが、新しいスターとか次のカルチャーを探す役割があると思うんですよ。流行やムーブメントを作り出すのがテレビなのに、それよりも各々の事情が先にきてしまっている。いまの事情にのっとった番組だけを作りますという状態。もし、何か事情が変わった時に、若手たちはいきなり切られてしまうのではないかということを僕は危惧している。

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人工的な世代交代が起きている気がする