循環列車の代名詞ともいえる山手線 (c)朝日新聞社
循環列車の代名詞ともいえる山手線 (c)朝日新聞社
2006年に開業した富山ライトレール (c)朝日新聞社
2006年に開業した富山ライトレール (c)朝日新聞社
1968年循環急行「しろがね」に乗り込む乗客 (c)朝日新聞社
1968年循環急行「しろがね」に乗り込む乗客 (c)朝日新聞社
1965年4月ダイヤに見る国鉄定期循環運転列車(全列車準急)
1965年4月ダイヤに見る国鉄定期循環運転列車(全列車準急)

 ぐるりと一周する列車といえば、山手線や大阪環状線が有名だけど、実はそうした路線は全国で10線区にのぼる。一方、路線や線区とは関係なしに周回する列車もあり、かつては国内各地で活躍してきた。そんな“循環列車”の面影を「時刻表」に追ってみた。

【写真】1968年当時の循環急行「しろがね」はこちら

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■各地で活躍するぐるり一周列車

 2020年6月現在、わが国において循環ないし環状運転をしている線区は10カ所を数える。もっともわかりやすい例が東京の山手線(JR東日本)と大阪の大阪環状線(JR西日本)だろう。「時刻表」に掲載されている路線図などを見れば路線そのものが周回しているのが一目瞭然。旅客列車の大半が環状運転をしており、通常の上り・下りではなく「外回り・内回り」で案内されているのも特徴だ。両線とも環状運転列車のほか車庫への入出庫や他線との直通列車も多数運転されているものの、環状路線の代表格であることは間違いない。

 ここで、「環状」と「循環」との区別がややこしいが、この両線に見られるように、単純に一周するのではなく「ぐるぐる」と周回運転を続ける路線や列車を「環状」、それ以外の起点に戻る列車を「循環」とすることができる。山手線などで「環状運転」中は特定の行き先を示さず「外回り・内回り」としているのもそのためで、「循環列車」のケースでは行き先がハッキリとしているという違いもある。

 現在、以下の10路線で「環状・循環運転」が実施されている。

 ・札幌市電      
 ・山手線
 ・ディズニーリゾートライン
 ・大阪環状線
 ・名古屋市営地下鉄名城線
 ・地方鉄道富山軌道線
 ・都営地下鉄大江戸線
 ・山万(やままん)ユーカリが丘線
 ・神戸新交通ポートアイランド線        
 ・伊予鉄道松山市内線

 このうち、名城線は1965年に日本最初の環状線地下鉄として開業、全長26.4キロメートルは大阪環状線の21.7キロをしのぐ。札幌市電は2015年に延伸によって環状化されたもので、環状ルートとすることで利用者増をはかっている。

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国鉄時代の列車を探ってみると