また、からだの中のリンパ節が腫れると、おなかの張り感、腰痛、足のむくみなどが出ることがある。

「悪性リンパ腫の症状はさまざまですが、リンパ節の腫れに気づいたり、検査で指摘された場合には、他の症状がなくても、いちど相談してみるとよいでしょう」

 と、伊豆津医師は早期受診をすすめる。

■ リンパ節が腫れないタイプもある

 一方で、埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科教授の塚崎邦弘医師はこう指摘する。

「悪性リンパ腫のなかには、リンパ節が腫れないタイプもあります。節外性リンパ腫といい、歯と爪以外のすべての臓器に起こる可能性があります」

 さらに病気が進行すると、B症状と呼ばれる「38度以上の発熱」「大量の寝汗」「半年以内に10%以上の体重減少」といった全身症状が出る場合がある。

 リンパ節病変の広がりの程度を示す病期I~IV期と絡めて、B症状があるII期はIIB期、B症状がなければIIA期と呼ぶ。塚崎医師はこれらのB症状の有無は、「治りやすさ」に影響するため、要注意だという。

「たとえば、リンパ節の腫れの範囲が横隔膜の上下どちらかのみのII期であっても、B症状があるIIB期は、腫れの範囲が横隔膜の上下に広がっているIII期でB症状がないIIIA期よりも治りにくいことがよくあります」

 病名が診断されるまではどのように進むのか。超音波検査やCT(コンピューター断層撮影)検査などで、「悪性リンパ腫の疑いが強い」と判断されると、生検手術を受けることになる。

 腫れているリンパ節などの病変部を採取して、顕微鏡で観察したりする。病変部に針を刺して一部を採取する方法もあるが、塚崎医師はリンパ節なら一つを“まるごと”採取するのが望ましいという。

「リンパ節全体のような大きな標本のほうが、病理の医師が病変の構造を評価しやすく、より正確でスピーディーな診断が可能になります」(塚崎医師)

 診断が確定したら、リンパ腫がどこまで広がっているのかを調べるためにPET(陽電子放出断層撮影)-CT検査がよく実施される。骨髄中にリンパ腫が転移していないかを調べる骨髄検査や、心臓や肝臓、腎臓などの臓器が、その後の薬物治療に耐えられる状態かを調べる心電図や心エコー、血液検査などもある。

次のページ
日本人に多いのは治療しないと週単位で悪化するタイプ