たとえば、恵は関口がちょくちょくゲストの名前を忘れるため「あなた」と呼ぶことで切り抜けていた話をしたことがある。そんなある意味、いいかげん(良い加減)なスタンスが意外と有効なことにも気づかされたのだろう。実際、関口は長年「サンデーモーニング」(TBS系)という一大帝国を築いているのだ。

 関口の同番組における長期安定ぶりはじつに33年、自分の事務所のタレントを次々とレギュラーに送り込むなど、豪腕なところも見せている。一見ソフトで、意外とコワモテという二面性も、両者に共通する特徴だろう。

 ただ、恵のコワモテっぽさはわかりにくい。前面に出さないよう、気をつけてもいるのだろう。それが一瞬、垣間見えたのが、4月30日のふかわりょうとのやりとりだった。

 その発端はコロナ報道について、ふかわがこんな疑問を投げかけたことだ。

「こういう形で出演しながら葛藤のようなものがあるのは、人々の余裕を奪っている一因に、朝から晩までスマホやテレビをつければコロナのことを扱っている。(略)たとえばこの『ひるおび!』がこのコロナを扱わなくなるときが来るとしたら、それはどういう状況なのかというのをちょっと伺いたいなと」

 これに対し、恵はコロナばかりやっている番組への批判だと勘違いしたのだろうか。最初は冷静だったが、しだいに気色ばみ、やや憮然としながら、

「東日本大震災が起きたときに、この国どうなるんだろうなと思ったけれども、スポーツで立ち上がったり、ボランティアで立ち上がったり、動きだしたから。今、集まることもできないのよ!(略)ごめんね、毎日毎日ふかわくんにしてみりゃつらいかもしんないけどさ、24時間。でも我々としては我々なりにやれることをやりたいのよ!」

 と、いつもより高い声でまくしたてたのである。たじろいたふかわはさらに説明を試みたものの、ぎくしゃくした空気のまま、CMに切り替わった。

 なお、恵とふかわは同じ事務所の先輩後輩だが、タイプは対照的だ。3浪して大学進学(早大志望だったらしい)を諦めた恵に対し、ふかわは慶應大卒。出身地も、鹿児島と横浜である。そのあたりも、このやりとりに関係したのかもしれない。

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「戦う」ことが正義の長渕イズムを継承