穏やかな笑顔の裏に「マッチョ」な一面も秘める恵俊彰(C)朝日新聞社
穏やかな笑顔の裏に「マッチョ」な一面も秘める恵俊彰(C)朝日新聞社

 コロナ禍を挟んで、東出昌大、渡部建の二大不倫騒動と大ネタが続き、今年もワイドショーは元気だ。なかでも平日昼枠において、安定した人気を誇っているのが、恵俊彰司会の「ひるおび!」(TBS系)である。

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 2011年あたりから、この時間帯における視聴率トップをほぼ独走。かつてTBSのこの枠が業界用語でいうゴミ箱(数字がとれない時間帯)だったことを思うと、隔世の感がある。

 本題に入る前に、その苦難の歴史(1985~2000年)を番組名で振り返ってみよう。「コント山口君と竹田君のおじゃまします」「新伍のお待ちどおさま」「ぴりっとタケロー」「悠々!お昼です」「吉村明宏のクイズランチ」「素敵な気分De!」「わいど!ウォッチャー」「山田邦子のしあわせにしてよ」「ちょっと言わせて」「黄金のレシピ」「宮本和知の熱血!昼休み」「おサイフいっぱいクイズ! QQQのQ」「マダムんむん」「スーパー知恵MON」……。番組名を羅列しただけでも、その迷走ぶりが伝わってくる。

 ちなみに、この期間は「笑っていいとも!」(フジテレビ系)が昼の顔として君臨。バラエティーでは勝ち目がなかったが、1996年に「TBSオウムビデオ問題」を認めたことにより、同局はワイドショーからも撤退することになる。2000年からは、福留功男の「ベストタイム」で巻き返しを図ったものの、V字回復とはいかなかった。

 そんななか、04年に「(特)情報とってもインサイト」がスタートする。TBSにとって8年ぶりのワイドショー復活であり、この司会に起用されたのが恵だ。同局はその後も福澤朗に「ピンポン!」をやらせるなど試行錯誤を続けたが、恵は後番組の「きょう発プラス!」や別枠の「2時っチャオ!」でも結果を残した。

 そして、09年春、ついに「ひるおび!」が始まるのである。

 この番組も当初はそれほどでもなかったが、転機となったのは11年。東日本大震災による報道への関心アップと「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)スタートによる「いいとも」とのバラエティー同士のつぶし合いが追い風になった。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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