■場所や大きさにより術後に皮膚の再建も

 皮膚がん全般の5年生存率は90%以上と高い水準だが、種類によっては悪性度が高いものがある。

 基底細胞がんはたとえ大きくなっても、ほとんど転移しない。しかし進行すると潰瘍をつくるなど、患部の皮膚組織を激しく破壊してしまう。

 一方、有棘細胞がんとメラノーマは治療が遅れるとリンパ節やほかの臓器に転移する。とくにメラノーマは悪性度が高く、進行も速い。足の裏の病変は気づきにくく、発見したときにはすでに転移していたというケースも少なくないという。

 発症する年代では、基底細胞がんや有棘細胞がんは70歳以上の高齢者に多くみられるが、メラノーマについてはその限りではない。筑波大学医学医療系皮膚科学准教授の藤澤康弘医師はこう話す。

「高齢世代のほかに、20代、30代にも発症のピークがある二峰性を示しています。若いからといって油断するのは禁物です」

 診断は問診、視診、生検(細胞の一部を採って詳しく調べる検査)がおこなわれる。

「基底細胞がんや転移のない有棘細胞がんは、切除すれば治療が終わることもあります。その場合は、切除と生検を兼ねて実施することになります」(藤澤医師)

 メラノーマも原発巣が薄く、深い浸潤(細胞に広がっていること)がなければ転移の可能性は低く、切除と生検で治療が終わることもある。

 しかし転移が疑われる場合は、CT(コンピューター断層撮影)などの画像診断や、センチネルリンパ節生検という検査をおこなう。がん細胞はリンパの流れに乗って広がるが、最初にたどり着くリンパ節(センチネルリンパ節)を特定し、このリンパ節の生検をおこなって転移の有無をみるという方法だ。

 センチネルリンパ節生検は、転移のリスクが高い有棘細胞がんにも実施される。

 皮膚がんの治療の第一選択は、切除だ。がんを完全に取りきるために、がん細胞よりも数ミリ~数センチ程度、大きめに切除する。基底細胞がんや有棘細胞がんで小さくて転移がないなら、外来で切除できることもある。

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こんな症状があったら注意!病変を見逃さないで