当時の東京大の入試日程について、大学史、受験雑誌はこう記している。

「新制第一回の東京大学入試は、昭和二十四年六月八日から十日にかけて行われた。入学式が挙行されたのは七月七日である」(『東京大学百年史 通史三』1986年)

「試験合格発表、六月二十三日、午後一時とある。ほっと瞼をなぜ下す者、ガッカリする者、またかと万年浪人あるやも知れぬ、待遠しい日ではある」(『螢雪時代』1949年8月号)

 国立大学1期生の入学式は7月から9月の間に行われた。授業開始は9月以降というところが多い。7月に入学式を行った大学もすぐに夏休みとなったからだ。いくつかの大学を見てみよう。

*岩手大学=「第1回入学式は昭和24年7月18日に講堂で行われたが、学生は直ちに夏季休暇に入った。開講は9月5日以降である」(『岩手大学五十年史』2000年)
*茨城大学=「7月20日には、第1回入学式が本部構内で挙行されたのであった。(略)入学式は炎天下の野外で行なわれたため、アロハ姿の学生もあったという。入学式ののち8月21日まで全学休講となり、各学部とも8月22日からいっせいに講義が開始された」(『茨城大学五十年史』2000年)
*埼玉大学=「7月16日に第1回入学式が教育学部講堂で挙行された、(略)本格的な初授業は1949(昭和24)年9月5日より行われた」(『埼玉大学五十年史』1999年)
*島根大学=「昭和二四(一九四九)年七月二〇日午前一〇時から、松江市川津キャンパスにある文理学部講堂で第一回入学式を挙行した。(略)入学式をすませて、大学が直ちに夏季休業に入り、九月一日から授業が開始された」(『島根大学史』1981年)
*大阪大学=「入学宣誓式は医学部大会堂で1949年6月28日午前10時から挙行された。開講は夏季期間の8月22日におこない、遅れを取り戻そうという予定であったが、結局9月1日から開講の運びとなった」(『大阪大学五十年史 通史』1985年)
本大学=「かくして昭和24年9月1日、熊本大学第一回入学式が挙行される運びとなった」(『熊本大学三十年史』1980年)
*九州大学=「新制九州大学の教養部は、七月中旬に教職員だけで開学式を行って、ただちに夏季休暇に入り、第一回入学式は、夏季休暇が明けた九月十日に医学部中央講堂で行われた」(『九州大学七十五年史』1992年)

 入学時期が遅れたからといって、1期生の卒業が先に延びたわけではなかった。入学してだいたい3年半後の1953年3月にきっちり卒業している。なお、2期生、つまり、1950年の国立大学入試は3月に実施され、4月から授業がはじまり、4年後の1954年3月に卒業していた。

 新制大学制度はスタートしたばかりゆえ、どの大学もスムーズに事が進まず多少の混乱があったようだが、これ以降、国立大学は3月下旬までに入試を行い、4月入学式で授業を開始するというスケジュールが今日まで続いている。

次のページ