任天堂が3月に発売した「あつまれ どうぶつの森」(C)任天堂
任天堂が3月に発売した「あつまれ どうぶつの森」(C)任天堂

 コロナ禍に見舞われた4月から、「Nintendo Switch」(以下、スイッチ)のソフトが、飛ぶ鳥を落とす勢いで売れている。ゲーム情報誌『ファミ通』の週間ランキング(集計期間=4月13~19日)では、トップ30のうち23本を任天堂のソフトが占めた。同ランキングによると、「あつまれ どうぶつの森(以下、あつ森)」の推定販売本数は28万6586本。2位のPS4用ソフト「ファイナルファンタジーVII リメイク」(7万652本)も決して低い数字ではないが、実に4倍以上の差が開いている。単に「あつ森」だけがブームになったわけではない。ここ最近のスイッチがPS4に大きく水をあけた背景には、今の「世相」も大きく影響していそうだ。識者への取材を基にその理由を探った。

【写真】2019年に最も売れたゲームソフトはこれ



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 スイッチが急速に勢いを伸ばしたのは、日本がコロナ禍に陥った後のことだ。

『ファミ通』によると、1週間あたりのスイッチの本体販売台数(4月20~26日)は、10万7104台(スイッチLite含む)。前年同期の売り上げは4万2108台だから、6万台以上も増加した。同じく巣ごもりの恩恵を受けたPS4も、前年同期と比べ1万8889台増えて3万3056台と伸びてはいるが、販売台数の比較でみればスイッチとはかなりの開きがある。

 両者の「差」を考える前提として触れておきたいのは、ソニーはPS5の発売を年末に控えている点だ。当然、今PS4の売り伸ばしを図るインセンティブは弱くなり、売り上げの見込めるビッグタイトルを年末以降にキープしている可能性もある。また、PS4の累計販売台数は約1億1000万台で、歴代の家庭用ゲーム機で2位の売り上げを誇る。累計販売台数が約5500万台のスイッチに比べ、市場の伸びしろが少ないという事情もある。

 とはいえ、こうしたハンディを考慮しても、スイッチの勢いは目を見張るものがある。

 カルチャー雑誌『PLANETS』副編集長の中川大地氏いわく、

「PS5の発売を年末に控えている状況下で、(PS4は)末期のハードとしては大健闘と言ってもいい数字です。しかし、『あつ森』のブレークも手伝って、スイッチの勢いがそれをはるかに超えているのです」

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「敷居の低さ」と「デザイン性」