コロナ禍という特殊な状況下で、スイッチが飛躍的に伸びた要因はいくつか考えられる。
まず挙げられるのは「ライトユーザーとの親和性の高さ」だろう。
ゲーム業界全体が増収増益の傾向にあるように、今は外出自粛で時間を持て余す人が増え、普段はあまりゲームをやらない層がゲームに手を出しやすい時期といえる。ゲームに詳しい評論家のさやわか氏はこう指摘する。
「ゲーム初心者の『入り口』として、フレンドリーなゲームが求められるようになった」
その点、任天堂は『マリオパーティー』をはじめ、初心者や子どもを交えて遊べるような「敷居の低さ」を重視してきた。家族や友人と気軽に楽しめるソフトを充実させてきたことはライトユーザーを取り込む上で大きな強みとなった。
一方のPS4は、年齢層の高いコアな男性ゲーマーを中心に支持を集めている。『DARK SOULS』シリーズに代表されるように、スイッチと比べるとユーザーは高度なアクション性を求める傾向が強い。
「こうした操作性の高いゲームは、新規ユーザーにとって手が伸びづらい。結果的に、コロナ禍で生まれたライトユーザーや新規ユーザーは任天堂に流れていきました。(ステイホームで)時間を持て余した人たちにとって手を出しやすいソフトが、スイッチでは『目の前にあった』のに比べ、PS4では見つけにくかったということでしょう」(同前)
また、スイッチのソフトに多くみられる「かわいいデザイン性」も追い風になった。数年前からトレンドに敏感な女性がライトユーザーとしてゲーム市場に流れてくる傾向があったが、外出自粛の影響でそれが加速。「女性受けするデザインかどうか」がPS4と明暗を分けたとみることもできる。
中川氏は「スイッチの看板ソフトは、デザイン性において明らかに女性に強い」と話す。
「女性も参入しやすいような仕様は、DSやWiiの時代から連綿と続いてきた任天堂のカルチャーと言えます。(今回のコロナ禍で)コアなゲーマー層以外に、任天堂が築き上げてきた『かわいいデザイン』が刺さった」

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