佐藤の持ち味は恵まれた体格を生かした圧倒的な飛距離だ。芯でとらえた時の打球は軽々とフェンスを越え、ここまでリーグ戦通算でも11本塁打を放っている。大型だが抜群の脚力で運動能力も高い。昨年の秋は打率1割台と不振に陥り、緩急に崩されやすいという弱点はあるものの、上手く成長すればプロでも中軸を打てるだけのスケールのある選手だ。

 ここまで故障で判断が難しい山崎を含めて7人の名前を挙げたが、正直なところ現時点で1位指名間違いなしと太鼓判を押せるのは伊藤と栗林になるだろう。しかも昨年の佐々木朗希(ロッテ)のような超目玉ではなく、わずかにリードしていると印象だ。しかし決して不作というわけではなく、SランクはいなくてもAランクは多いというのが今年の傾向である。そして昨年の石川昂弥(中日)のように最終学年で一気に浮上してくる選手が出てくるというのがドラフトの常である。そういう意味でも、どんな形であったとしても、6月以降に選手のアピールの場が確保されることを切に願いたい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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