注意したいのは、すべてを満たして初めて著作権者の許諾なく作品を使う「引用」が認められることだ。

 誰もが自由に写真や文章、動画を発信できる今、もし自分が発表した文章や写真、イラストが勝手に使われていたり、赤の他人が我が物顔で自分の作品を発表していたりしていたら、どんな気持ちになるだろうか? それは冒頭で紹介した、絵本の読み聞かせ動画で勝手に作品を使われた絵本の作者や出版社も同じだ。

「いいものを紹介するのだからいいだろう」「みんなに楽しんでもらいたい」などといった理由は一見好意的ではあるものの、他人の権利をないがしろにしている可能性があるということを頭の片隅に置いておこう。誰もが被害者、加害者になる可能性があるからこそ、一人ひとりが著作権への意識を高め、学んでいく必要があるだろう。

(文/吉川明子)

アサヒカメラ増刊「写真好きのための法律&マナー」より