安倍晋三政権が27日夕に発表した全国小中高校や特別支援学校への臨時休校要請に、衝撃が広がっている。インターネットでは、「良い判断」「遅すぎたくらい」といった賛同の声があがる一方、医療機関の混乱を懸念する意見も出ている。

 千葉市の谷俊人市長は、安倍首相による休校要請発表の報道が出た直後にツイッターで、

<衝撃の報道。全国一斉春休みまで休校…いくらなんでも…>

 と投稿。さらに、

<医療関係者など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねません>

 と、自治体トップとしての懸念を表明した。

 保育施設を運営するフローレンス代表の駒崎弘樹氏も、ツイッターにこう投稿している。

<政府の一斉休校の「要請」には従わないでください。中国の約4万5000人のデータからも9歳までの死亡者数は0です。全くエビデンスに基づいていません。それより共働き家庭が働けなくなり、医療・福祉が崩壊し、他のところで死者が出ます>

 熊谷市長や駒崎氏が不安を感じるのは無理もないことだ。医療機関の混乱は、すでに現実になっている。

 新型コロナウイルスの感染者が54人(27日現在)にのぼっている北海道は26日、国に先がけて道内の小中学校や特別支援学校に臨時休校を要請。私立学校を含めた道内すべての小中学校1691校が1週間程度の休校を決めた。

 これが医療機関を直撃した。帯広市の帯広厚生病院(菊池英明院長)では、臨時休校の決定を受けて職員への聞き取りを実施。その結果、子供が学校に通えないと出勤できない看護師が、最大で全体の2割にあたる170人にのぼる可能性があることが判明した。そのため、28日以降の外来診療は、予約や救急患者のみ受け付けることになった。同病院の職員は、こう話す。

「中学生は留守番させることができても、さすがに小学生の子供を家に残すのは不安だという声が多かった。そのため、一部の入院病棟で患者さんの受け入れを制限しながら、そのスタッフを外来診療に振り分けることを考えています」

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社会的機能をどう維持するか