精神疾患は身近な病気なのに、医療が届きづらい? 「正しい情報がほしいけど」

医療が届かずに悩んでいる方へ 一精神科医の切なる想い

ヘルス

2020/02/20 07:00

 これは、ご自身であっても、周りで支援しようとしてくださっている人でも、(自戒の念として)医療者であっても当てはまります。誤った知識だけが誤解を生む原因ではないと思いますが、第6回(2019年6月6日配信)で取り上げた自己診断であったり、単に周囲と比べて目立つものがあるだけで精神疾患と疑ってしまったりと、誤解に基づく不当な評価が苦痛の一因となっているケースも経験します。

 ご本人がご自身の一番の理解者であるために、患者さんのことを思い支援する人が本当の支援者であるために、(しつこいですが自戒の念として)医療者が信頼される良き医療者であるために、得た情報の検証と学び続けることが重要なのだと思います。

 医療とつながるということは、診断や治療を受けるというだけでなく、専門的な情報の窓口にかかるということでもあります。先述のとおり、医療で受けた提案であっても納得するまでしっかりと検討する必要はありますが、この点につきましても、当コラムがきっかけの一つとなれば光栄に思います。

 本来は、ある程度の回を通して、「誤解」ではなく「偏見(stigma)」について皆さんと考えてみたいと思っていました。(正確ではないかもしれませんが)私にとって「偏見」は、精神医学の歴史や社会的背景なども含む大きなテーマであったため、あえて「誤解」という選句にとどめました。

 改めて、最後になりましたが、「医療が届かず社会で悩んでいる人へ」

 当コラムを担当させていただいてから早1年。当コラムは、必要な医療が届かず地域社会の中で苦しんでいる人へ、どうにか医療を届けられないかと思って始めました。

 医学的・医療的な内容はあえて控えるようにしていたため、深みのないものばかりだったと思いますが、これまでご愛顧、またご意見をくださり、読者の皆さまには心から感謝しています。

 新年度からは、行政官としてよりよい医療提供の実現へ向け尽力させていただく方針で準備を進めています。そのため、職責相反の観点からいったん休載とさせていただくことになりました。

 今後環境は変わりますが、引き続き微力ながら、これまで学び、育てていただいた経験を、社会のためにできる限り還元していけるよう努めたいと思っています。当連載が、皆さまの一部であっても、お悩みに向き合う何らかのきっかけになれましたら心からうれしく思います。

大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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