低用量ピルとは、女性が毎日内服することによって、非常に高い避妊効果を得ることができる薬です。飲み忘れることなく、継続して1年間低用量ピルを内服した場合、妊娠率は0.3%と言われています。避妊薬として知られている低用量ピルですが、規則的な月経周期、月経前のイライラや頭痛・腰痛・倦怠(けんたい)感といった月経前症候群(PMS)の症状の軽減、月経痛や月経量の軽減といった効果も得られること、さらには月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として保険適応されたことから、避妊目的以外に内服している女性も増えています。


 
 けれども、世界保健機関(WHO)の統計によると、2015年の経口避妊薬を使用した15~49歳の日本人女性の割合はわずか1.1%。フランスの40%、ドイツの37%、米国の16%を大きく下回っているのが現状です。

 実際、コンドームの使用が主な避妊法になっている現状があることが、2018年に行った看護師・准看護師・看護学生1098名を対象としたアンケートによって判明しました。なんと72.8%がコンドームを使用していると回答し、低用量ピルの使用は32.2%に留まっていました。また、性交渉の際に必ず避妊をすると回答したのは39.6%、全く避妊しないと回答したのは30.2%でした。

 ちなみに、日本人女性の低用量ピルの使用率の1.1%と比較すると、低用量ピルの使用率が32.2%というのはドイツ並みに高い数値ですが、これは低用量ピルについての知識を十分に持っている専門職を対象にしたからだと考えられます。

 さて、コンドームを使用していても、破れてしまった・外れてしまったといった理由で避妊に失敗することがあります。たとえ、低用量ピルを内服していたとしても、2日以上内服するのを忘れてしまったら、避妊効果は得られません。そんな時に避妊していなかったり、コンドームをつけなかった・破れた・外れたといったりする場合、避妊に失敗したということになります。

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求められるのは 女性の不安を即時に解消する環境づくり