森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
※写真はイメージ(Getty Images)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「子どものお昼寝と学業・精神面の関係性」について「医見」します。

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 お昼寝をしすぎると夜眠れなくなってよくない、というのはよく言われることです。赤ちゃんのときはもちろんお昼寝は必要ですが、3歳前後からお昼寝が必要なくなることが知られています。アメリカの2004年の統計では、1歳半~1歳11カ月の子では98%の子がほとんど毎日お昼寝をしていますが、3歳のときにはその割合は57%にまで低下しています。

 日本では、3歳以上の子どもはお昼寝をすることで就寝時間が遅くなってしまうという研究もあります。例えば2011年には、3~6歳の幼稚園児と保育園児を同年齢同士で比較すると、保育園児の方が寝る時間が30分以上も遅いという調査結果が発表されています(※1)。このような研究結果から、子どもが成長したらお昼寝はなくしていくのが良い、というのが一般的な考え方になっています。現在では保育園でもその子の発達に合わせてお昼寝を調節してあげられるように、保育指針の記述が改定されました。4~5歳クラスの一律のお昼寝をとりやめる保育園も、少しずつ増えてきているようです。

 しかし、お昼寝が文化として許容されている国では、様子が少し違います。シエスタといえばスペインが有名ですが、実は中国もお昼寝をする文化です。小学校でも長い昼休みが設定され、お昼寝をとる子どもも多いようなのです。今年春に発表された論文では、中国の小学校4~6年生の子どもたち約3千人を対象として、お昼寝と学業成績等の関係が調べられています(※2)。その結果、お昼寝を30分~1時間程度している子の方がおおむね成績が良く、幸福度も高く、問題行動も少ないことがわかりました。

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森田麻里子

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森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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