JR中央西線(下)から見える木曽川の名所「寝覚の床」(提供/上松町観光協会)
JR中央西線(下)から見える木曽川の名所「寝覚の床」(提供/上松町観光協会)
大井川鉄道井川線の閑蔵駅。井川駅から5キロ、20あるトンネルを抜ける(C)朝日新聞社
大井川鉄道井川線の閑蔵駅。井川駅から5キロ、20あるトンネルを抜ける(C)朝日新聞社
中央アルプスの山々をバックに、大田切川(天竜川の支流)にかかる鉄橋を渡る飯田線(C)朝日新聞社
中央アルプスの山々をバックに、大田切川(天竜川の支流)にかかる鉄橋を渡る飯田線(C)朝日新聞社

 今年も刻一刻と南下が進む紅葉シーズン。すでにトロッコ列車などの観光列車で楽しむ紅葉車窓を取り上げてきたが、これまでとはちょっと視点を変えて、普通列車に乗りながら紅葉狩りを楽しめる路線を探ってみた。おおむね11月上旬から下旬ごろにかけて見ごろが期待できる路線を紹介しよう。(※一部の鉄道路線は台風や豪雨の影響で現在運休を余儀なくされている。今回は応援の気持ちも込めて掲載した)

【写真】大井川鉄道井川線の閑蔵駅

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■都心からも身近な山岳紅葉路線

 日本有数の混雑路線である中央本線も、都心から離れるにしたがいローカル色が現れてくる。電車特定区間の境となる高尾から西は突如のように山岳区間となり、車窓の変貌に旅情を刺激される人も多いに違いない。

 中央本線は、東京を起点に甲斐路や木曽路を経て名古屋に至るJRの主要幹線のひとつ。東京側では特急「スーパーあずさ」や「あずさ」、長野側では「ワイドビューしなの」が行き交う特急街道で、新幹線とは異なる長距離特急旅が体験できる貴重な路線でもある。

 しかし、ここは普通列車で一歩一歩進むように車窓の変化を味わってみたい。

 高尾~相模湖間の小仏峠越えからはじまる山岳車窓は、甲斐駒ケ岳や八ケ岳をはじめとする名峰や山塊へと続き、山々に囲まれた甲府盆地も絶景。遠望や近景の区別なしに紅葉の彩りが期待できるが、高尾や相模湖、四方津(しおつ)付近など都心近郊の紅葉のビューポイントに恵まれており、都心からの日帰り探訪も容易だ。

 塩尻以西では中津川付近まで木曽川に沿って名古屋を目指す。木曽川の渓谷は名古屋方面行き列車では右側がメインで、奇岩が大胆な渓谷美をなす「寝覚の床」もこちら側となる。途中下車を交えながら、奈良井宿(ならいじゅく)や福島宿、妻籠宿(つまごじゅく)など木曽路の宿場町などを歩くのもおススメ。

 両ルートとも、東西に長いエリアとなるうえ標高差もあるため、紅葉のピークはまちまち。お出かけの際には紅葉情報を入念にチェックするか、「どこかで出会えれば」ぐらいのおおらかな気持ちで臨みたいところだ。

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途中下車を満喫するコツは、特急を上手に使うこと