グリズリーズでNBA2年目を迎える渡邊は、今季が勝負のシーズンだ。NBA傘下のGリーグで主にプレーしながらNBAチームで最大45日所属できる2ウェイ契約を結んでいるが、今季が契約最終年。昨季は、15試合に出場し平均11.6分のプレーで2.6得点、2.1リバウンドのアベレージを残し、オフには日本代表としてW杯で活躍。サマーリーグやプレシーズンでも随所にアピールしたが、現契約下にある以上、Gリーグ、メンフィス・ハッスルでのプレーがメインとなるだろう。

 そのため、昨季同様に与えられた少ないチャンスでどれだけ存在感を発揮できるかがカギとなる。オールラウンダーとしてプレーできることは、チームにとってもメリットになるし、各ポジションでディフェンスをこなせることは強みでもある。課題はロングシュートを含め、シュートをさらに高い確率で決めること。昨季のフィールドゴール成功率29.4%、3Pシュート成功率12.5%は大きく改善する必要がある。またさらなるフィジカルの強さも欠かせない。

 プレシーズンではあまり出場機会に恵まれず歯がゆい思いもあったが、グリズリーズもウィザーズ同様、再建期におり、シーズン後半になれば出場機会も出てくるはず。昨季も2月以降にプレーしたゲームでは19分以上出場が5試合を数えた。コールアップされた時に全てを出し切れば、シーズン終盤にメインロスター入りする可能性もあるだろう。

 そして、マーベリックス傘下のテキサス・レジェンズでのプレーが決まった馬場。サマーリーグでのプレーとW杯の米国戦で孤軍奮闘の活躍を見せたことも要因となり、アルバルク東京から夢を叶えるべく渡米を果たしたが、今季はレジェンズで腕を磨くことになりそうだ。

 馬場はマーベリックスと「エキシビット10契約」を結び、プレシーズンゲームにも出場していたが、その段階でマーベリックスのロースターは埋まっており、今回のレジェンズ所属はそもそも既定路線。レジェンズで、米国戦で見せたようなアグレッシブなプレーを続けていけば、シーズン終盤あたりのNBAデビューも夢ではないだろう。

 八村と渡邊は、大学から渡米しNBA入りしたが、馬場は日本の大学からBリーグを経て海を渡った。八村と渡邊しかNBAで通用しないとなれば、後に続く者たちも2人の足跡を追うことになり、それはいずれ国内バスケの空洞化にもつながる。馬場には国内バスケの発展のためにも、夢を叶えてもらいたい。(文・田村一人)