子どもを持つ親たちにとって“避けたいもの”になってしまったPTA活動。なぜ強制参加? 非効率すぎ、変えられない・変わらない……そんなPTA問題の核心をズバリ表現する「2コマでPTAを叫ぶ母」さんのマンガを題材に、PTA問題に詳しいライター大塚玲子が解説します。初回は、超不毛と悪名高い「ベルマーク活動」について。
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一体いつの時代の風景なのか。
スナック菓子やラーメン等々。食品パッケージから切り取った小さな紙片を空き箱に回収して、メーカーや点数ごとに分類。そして電卓で計算、集計……。そう、それは昭和の時代によく耳にした「PTAのベルマーク活動」。なんと今も続いています。
学校の一室でやっているくらいですから、もちろん「悪い活動」ではありません。ベルマークをたくさん集めて点数を貯めると、自分の子どもが通う学校や被災地の学校に、ラジカセだのピアノだの、備品を寄付できるという仕組みですから、奨励されるわけです。
学校にとっては、やはりありがたい話です。ご存じのように、日本は教育に驚くほどお金をかけません。GDPに占める教育の公的支出の割合は、いまや先進国(OECD加盟国)のなかでビリ。学校に与えられる予算は、とても少ないのです。
そんな状況ですから、ベルマーク活動だろうがなんだろうが、ほとんどの学校は喜んで寄付を受け取ります。
とはいえ、この寄付のシステムは、さすがにアナログすぎないか。
マンガにも描かれているように、たとえばポテチの袋から切り取ったベルマークは、裏が油でヌルヌルべたべた。調味料を包む薄いセロハンに印刷されたベルマークは、そよ風に舞うほど繊細で、集計には手間がかかります。
20人が2時間作業したとしても、あがりはたった数千円。「捨てちまえっ!」と叫ぶ人がいるのも、不思議ではありません。
もっと効率よく寄付をする方法はいくらでもあるのに、なんだってこんなやり方をしているのでしょうか。
そもそもベルマークが始まったのは1960年。高度成長期まっただなかの時代です。「父親が外で働いてお金を稼ぎ、母親が家事育児を担う」という性別役割分担の全盛期でもありました。