「株式会社竹内まりや」を分析する夫・達郎がすごかった

あの人ってば。

矢部万紀子

2019/10/07 11:30

 夫の山下達郎さんのことを「達郎」と呼んでいた。「音楽に対する誠意ある姿、ブレないポリシーがあり、媚を売って世の中をわたることができない人」だから信頼し、結婚した。出産後に出したアルバム「VARIETY」がチャート1位になったのも「達郎の協力、彼のプロデュース」が大きく、いつも一緒で疲れないかと聞かれるが「プラスのことが大きい」。そんなふうに語っていた。

 デビューしたばかりの竹内さんが坂本九さんと「カレンダー・ガール」を歌っている場面が流れるなどなど、NHKならではの秘蔵映像がたくさんあった。だが、この番組の一番の目玉は、「山下達郎、竹内まりやを語る」だったと思う。

「竹内まりやさんの曲が今も輝き続けるのはなぜか、この人が語ってくれました」とナレーションが入る。「山下達郎です」と声が聞こえた。画面はステージでマイクを握る山下さんの静止画。「恋の嵐」がバックに流れる中、山下さんの解説はこう始まった。

「竹内まりやが40年間続けてきた音楽スタイルは、どなたにでも受け入れていただける、いわゆるミドルオブザロード・ミュージックです」

 ミドルオブザロード・ミュージックって? 英語ができないので、そこで一瞬思考が停止する。後に英和辞典で引いたところ、「middle of the rord <人、政策、音楽などが>穏健な、中道の」とあって、ああ道の真ん中ね、「どなたにでも受け入れていただける」ことなのね、と理解した。ことほどさように山下さんの解説は丁寧で、わかりやすく伝えようと練った文言だったと思う。その結果、マーケティング講座で「株式会社竹内まりや」を分析するすご腕マーケッターの講義のようになった。講義のサマリーを書いてみる。

 株式会社竹内まりやは「トレンドに媚びず、普遍性を模索する」という姿勢を貫き、生産者としては「シンガーというより作詞家作曲家」という立ち位置を維持してきた。だから幅広い商品(「曲想」と表現していた)が生まれ、30年前の商品(「作品」と表現していた)でも古びない、と。そして、すご腕マーケッターは、講義の最後をこう締めた。

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