巨人の阿部慎之助捕手の引退会見では、球団から報道陣に背番号「10」のレプリカユニホームが配られ、異様な光景に (c)朝日新聞社
巨人の阿部慎之助捕手の引退会見では、球団から報道陣に背番号「10」のレプリカユニホームが配られ、異様な光景に (c)朝日新聞社

「阿部慎之助は引退発表も優勝決定まで行わず、チームの戦いに水をさすことがなかった。存在感でチームに影響を与える素晴らしい姿だった。しかし、あの引退会見はわからない。メディア全員がTシャツを着て……。あれは会見ではなく、『阿部さん慰労会』ですね」

【写真】平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの男!

 そう語るのは在日メジャーリーグ関係者だ。

 9月25日、巨人・阿部の引退会見において、出席メディアが揃いの『ABE10』Tシャツを着用。出席者の心境を取材するための記者会見の場では、到底ありえないような光景だった。

 これまでもシーズン中に引退、退団を発表した選手を巡り、多くの疑問点は上がっていたが、今年はさらに顕著な例が目立った。千葉ロッテの福浦和也や、阪神の鳥谷敬などはまさにそうだろう。

 長年応援してきた選手の最後の晴れ姿を、可能な限り多くの人に見て欲しいという意図はわかる。しかし、明らかに功労者をビジネスに利用していると感じる場合も目にする。チームの功労者であればあるほど、引退までの試合チケットは売れる。そして、関連グッズの売り上げも莫大なものになる。前出のメジャーリーグ関係者は言う。

「福浦はシーズンを通じて二軍で調整を重ねた。あらかじめ今年いっぱいの引退を宣言していたため、二軍戦にも多くのファンがきていました。千葉ロッテ二軍は米マイナーと異なり独立採算チームではないので、良かったと思います。一方で、引退試合はチームのクライマックスシリーズ進出の可能性が残っていた。勝利したから良かったですけど、仮に負けていたらどうなったか。同じ状況でMLBなら、選手自身が辞退して絶対に試合には出場しません」

 9月23日に行われた福浦の引退試合は、普段空席が目立つZOZOマリンスタジアムが超満員。引退記念グッズも飛ぶように売れた。2016年のサブロー、2017年の井口資仁(現千葉ロッテ監督)など、千葉ロッテは引退選手に関して同様の興行を開催するのが目につく。ファンはうれしいだろうが……。

次のページ
メジャーでは考えられない…