ポールを使いながら歩くノルディックウォーキングもシニアにおすすめです。ポールが杖となり転倒防止に役立ち、全身の筋肉を使うため、体力づくりや減量、肩こりの解消に効果的です。

 水泳や水中ウォーキングは、水中で浮力が働いてひざや腰への負担が少ないうえに、水の抵抗に逆らうため筋力アップに有効です。マスターズ大会などの競技に参加する人は、練習しすぎると肩を痛めて「水泳肩」になるため、頑張りすぎないように注意しましょう。

 中高年になると、加齢に伴って関節のクッションの役割をする軟部組織が変性して痛みが起きやすくなります。痛みを防ぐポイントは、「負荷をかけすぎないこと」と「なるべく負荷のかからないフォームで動かすこと」にあります。

 昭和大学藤が丘病院の西中直也医師は、こう話します。

「中高年以上の方は、とくに例えばボールを打ったり投げたりするときに、腕だけでなく全身をうまく使った動作ができるようになると、手首やひじ、肩の障害を防止できます。そのためには体幹を鍛え、バランス機能と柔軟性を向上させることが不可欠です」

 ひざのけがをするのは、たいていジャンプの着地のときに、バランスを崩してひねるのが原因です。「バレーボールやバドミントンなどをやる際には、なるべく片足でなく両足で着地することを意識すると、ひざのけがを防止できます。また、転倒による骨折にも注意しましょう」(土屋医師)

 もしスポーツをしていて痛みが出れば、それは負荷のかかりすぎと疲労のサイン。その場合には、それを無視せずに痛みがなくなるまで運動を休み、回復してから再開することが大事です。痛みが強いときや繰り返し痛みが出るときは、すぐに整形外科を受診しましょう。

(文/坂井由美)

(監修)
日本整形外科スポーツ医学会
理事長 松本秀男医師

船橋整形外科病院
副院長 土屋明弘医師

昭和大学スポーツ運動科学研究所
昭和大学藤が丘病院
整形外科 准教授 西中直也医師

※週刊朝日ムック『首腰ひざのいい病院2020』から