天海:私なら、監督に「これはどうなんでしょう?」って話すことが結構あるんですが、小百合さんはそういうことも一切おっしゃらない。寒い中、暑い中、じーっと集中されているんですね。その姿を見て、ちゃんとしなければって襟が正され、その存在で座組を引っ張っていらっしゃる。それでいて純粋なんですよ!

ムロ:そう。例えば、1メートルぐらい先から「吉永さん、昨日は何を食べたんですか」とか他愛もないことを聞いたら、トコトコトコと近づいて来てくれて、目の前で顔を見上げて喋ってくれるんです。一生懸命、まっすぐに目を見て。本当に思うんですよ、「お守りしたい!」って。この方に何かあるならば、私が壁になって!って気持ちになります。それに(身長差のある)天海さんと吉永さんが近い距離でお話ししている姿は素敵でしたよ。天海さんも決して見下ろしているわけじゃなく、良い関係なんですよ。なんて美しい光景なんだって思いました。

天海:それが、私たちだけじゃなくてどのスタッフの方にもそうなんです。別け隔てなく。

――そうなんですね。映画の中には、12歳の女の子が書いた「死ぬまでにやりたいことリスト」が出てきますが、お二人が12歳のときに描いていたやりたいことは、どんなことだったのでしょうか。

ムロ:12歳ですか~。小学2年生から始めた野球の才能が無いことに気づいて、もうプロ野球選手になれないなと思ったころかな(笑)。後から始めたやつが1日で僕を抜いていくという……。最初の挫折を経験したんですよね(遠い目)。あ、中学2年生のころ、学校の作文で「将来やりたい仕事」というテーマがあって、テレビに関係する仕事って書いたのは覚えています。テレビっ子だったんですよ。家族が魚屋さんをやっていたのでそれが終わるまでテレビを見ながら待っていたので、すごいテレビに思い入れがあったんです。

天海:へぇ~。きっとその時間を幸せにしてくれていたのがテレビだったんですね。

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天海さん「幼稚園のころから芝居をする人に」