JR3社連名で発表されたプレスリリースによれば、新幹線に大型荷物を伴う乗客が増えていることに加え、2020年に予定される東京五輪に絡み、大型荷物の持ち込みが増加するだろうという各社の予測が導入の背景にあるようだ。

 ここでは直接は触れられていないものの、ここ数年にわたり増加している訪日外国人旅行者数が、五輪開催時にさらに増大する可能性を見越していると思われる。

 確かに、外国旅行となれば手荷物が増えるのは珍しいことではない。また、国内でもキャリーバッグ持参のビジネスマンや観光客が目立つようになってきている。

 こうした手荷物は、航空利用であれば預け荷物とすることも可能だが、鉄道では一般にそうはいかないため、訪日旅行者に限らず優先的な荷物置き場が新設されるのは朗報であることに間違いはないだろう。今回の発表を受けて、「そうか、その手があったか!」と気付いた利用者だっているかもしれない。事前予約による利用で別料金がかからない点も、一応の評価材料にはなるだろう。

 ただし、「事前予約が必須」という点で、とりわけ外国人利用者に混乱を来さないだろうかという疑問はある。訪日旅行者にとっては、事前に指定席の予約ができれば、より安心できるハズ。いわんや「特大荷物」の持参予定があり、今回発表のサービスを知っていればなおさらであろう。ところが、これが決してスムーズにはいかないのだ。

■十分とはいえないWEB予約システム

 導入を発表したJR3社には、「エクスプレス予約」「スマートEX」(JR東海)と「e5489」(JR西日本・JR九州)といったWEB対応の指定席予約システムがある。このうち、海外在住の外国人が訪日前の予約に利用できるのは「スマートEX」「e5489」の2種類。そのほかに、JR東日本の「えきねっと」が利用に対応しており、一部列車等に制限はあるものの、訪日前の予約は可能ということになる。

 しかし、本稿を書くにあたり調べてみて、特大荷物置き場を予約する以前に、訪日客が自国から日本の新幹線を予約するのは分かりづらい、との印象を持たざるを得なかった。

 まず、日本の新幹線は全5社で運営されていて、東海道・山陽新幹線のように直通運転をしていながら、区間によって路線も運行も会社が異なる。そのため、例えば東海道新幹線の東京~京都間の指定席と特大荷物の予約をする場合、慣れていない人にとってどの会社の購入サイトを利用すればいいのか分かりにくいと感じるかもしれない。本件に限ったことではないが、外国人がWEB予約をするのはハードルが高いのではないかと感じられた。

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日本の鉄道は後れを取っている!?