そもそも、僕は不買運動って言葉が本当に嫌い。なぜかというと、その商品を買う・買わないは個人の自由だからです。それなのにみんなを焚きつけて、そうじゃないことを許さないのは人権侵害にも繋がるんじゃないかと思う。誰かが美味しいって勧めてくれたお菓子を、僕が「クソまずい」って言おうと、自由じゃないですか。決して共通点でいる必要はないわけです。それなのにみんなで同じように主張しようって強制されるのであれば、それは危険思想だと思う。

 ネットは自由だって言われる割には、一つのラインの上にいなきゃ叩くっていうことが起きがちですよね。それは全く新しくもないし、言ってることとやってることがめちゃくちゃだとすごく感じます。

 個人が撮影した動画も含めて、ネットで即座に情報を得るというのは、方法論としては良いと思う。自分で選んで、自分の時間で見られるという点は、テレビも見習って変わっていかなきゃいけない。でも、その情報が確かなものかどうかは誰にもわからなかったりするという問題があるわけです。モラルの面でも誰が責任を持つのかという面でも、問題が出始めていますよね。

 Youtuberが事件現場で動画を撮って配信したことも問題になりましたが、先日ワイドショーで放送されていた一般の人の動画も疑問が残りました。大阪でタクシーに乗ったら、運転手がガラケーでずっと通話していて、その会社に苦情を入れたと。その対応があまりにも悪かったから、タクシー協会にも苦情を入れて、ネットにもアップしたということでした。でもそれってよくよく考えてみたら、おかしくない?

 もちろんタクシー運転手がやったことは法律違反。でも、現場で注意できなかったのか? それが怖かったとしても、タクシー会社には「ネットにあげますよ」って言ったんだろうか。このままでは判断できないケースだなと思います。一見、正義のようだけど、本当に正義なんだろうかって思うことが最近増えていると感じます。

次のページ
威圧的な取り締まり「なぜ動画?」