一方、5回までに8奪三振のダルビッシュも「ムッチャ、体が熱くなった。1点もやれないし、野球をやっていて初めて緊張した」と全力投球で6回に3三振を奪い、両者11個ずつで並ぶ。

 奪三振数は9回終了の時点で服部16、ダルビッシュ14。計30奪三振は25年の東山中vs北海中以来、78年ぶりの大会タイ記録だった。

 試合は0対0のまま延長戦に突入し、ダルビッシュは「(延長15回引き分け)再試合を覚悟していた」という。だが、東北は11回2死一、二塁、1年生・加藤政義の三遊間タイムリーでサヨナラ勝ち。レフトからのバックホームは一塁側にそれ、本塁ベースカバーの服部は、非情の幕切れに呆然と立ち尽くした。

 三振の数は服部17、ダルビッシュ15。2人合わせて32奪三振は、金属バット導入以後の延長戦を含めた記録では、81年の名古屋電気・工藤公康(現ソフトバンク監督)、北陽・高木宣宏の33に次いで2位。平安は2回から7回まで毎回出塁しながら、計5度の得点圏を生かせなかったのが惜しまれた。

 好投報われず敗れた服部は「今までで……、一番いい……、ピッチングが……、できました」と嗚咽で途切れ途切れになりながらも、声を絞り出し、「来年も絶対ここで投げたい」とリベンジ宣言。翌04年は1年後輩の炭谷銀仁朗とバッテリーを組んだが、府大会準決勝で京都外大西に敗れ、ダルビッシュとの再戦は幻に終わった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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