ヤクルトの村上宗隆 (c)朝日新聞社
ヤクルトの村上宗隆 (c)朝日新聞社

 ヤクルトの選手の登場曲、いわゆる出囃子として、最も多くの曲が使われているアーティストは誰か? 今シーズンに限っていえば日本の4人組ボーカルグループ、GReeeeN(グリーン)である。

 2016年から『遠くの空指さすんだ』を登場曲としているチームの看板スター、山田哲人を筆頭に、村上宗隆(『夢』)、田川賢吾(『pride』)、星知弥(『愛唄』)と10代、20代の選手4人がGReeeeNの曲を選んでいる(星は今季は一軍登板なし)。このうち『遠くの空指さすんだ』は山田の登場曲用に書き下ろされたものであり、いわば山田のテーマ曲と言ってもいい。

 その山田はこれまでも打席ごとに異なる曲を出囃子としており、今シーズンは第1打席の『遠くの空指さすんだ』に続いて第2打席がMrs.GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)の『StaRt』で、第3打席はこれも山田の登場曲としてはおなじみのSOUL’d OUT(ソウルド・アウト)の『ALIVE』。第4打席は再びMrs.GREEN APPLEで『ロマンチシズム』、そして第5打席が昨年も使っていたHi-Fi CAMP(ハイファイ・キャンプ)の『キズナ』となっている。

 山田のように複数の曲を出囃子にしている選手は何人かいて、高卒2年目ながらここまでセ・リーグトップの54打点をマークしている村上も、前述の『夢』を奇数打席で使い、偶数打席ではレゲエアーティストEXPRESSの『I CAN』を登場曲にしている。

 実は『夢』は2歳上の兄に選んでもらった曲で、村上自身が選んだのは『I CAN』。この曲の歌詞が気に入っているというが、どの部分が好きなのか聞くと「それはちょっと……恥ずかしいんで」とはにかむ辺り、打席で見せる堂々とした振る舞いとは対照的に、19歳という年齢相応の初々しさを感じさせる。

 打席に入るたびに出囃子が流れる野手と違い、投手の場合は登板時だけなので(打席に立つ際は流れるが……)、登場曲は基本的に1人1曲。ただし、昨年はプロ17年目にして初のタイトルとなる最優秀中継ぎ投手賞を受賞した近藤一樹は、今シーズンから2つの曲を使い分けるようになった。

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近藤はシーズン途中に曲を変更