「後から知ったんですけど、これって(ドラマ)『チア☆ダン』の主題歌なんですよ。『チア☆ダン』って、もともと(映画『チア☆ダン?女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』)は僕の高校(福井商高)のチアリーダー部の話なんです」

 そのチアリーダー部が創部されたのは、奇しくも中村が入学した年。さらに、曲の歌詞は野球とは直接関係ないもののMVの主人公は野球少年で、そんな思いもよらぬつながりに少し驚いたという。

 この曲は昨年リリースされた曲で、出囃子には最近の曲を使う選手が多いが、2019年の今では“懐メロ”の部類に入るような曲を選ぶ選手もいる。昨年プロ初勝利を挙げたばかりの22歳のサウスポー、高橋奎二の登場曲はなんとWANDS(ワンズ)の『世界が終るまでは…』だ。

 ソングライターとして数々のヒット曲を生み出し、J-POPの隆盛を築いた織田哲郎の作曲によるこの曲が発売されたのは、今を遡ること25年前の1994年。当時はまだ生まれてもいなかった高橋がこの曲を選んだのは、年上のチームメイトの影響によるものだったという。

「(プロ2年目で26歳の)大下(佑馬)さんがカラオケでよく歌ってて、登場曲に勧められたんです。僕は全然知らない(曲)ですし、WANDSも知らなかったですけど『いい歌だなぁ』って思って……。自分でも歌いますよ。そんな得意ではないですけど(笑)」

 野手最年長の青木宣親も、親交のあるギタリストTAKUROがリーダーを務めるGLAYの『HOWEVER』を登場曲に使っているが、これも今から22年前の大ヒット曲。このあたりの曲がスタジアムに流れると、思わずノスタルジックな気分になるファンも少なくないだろう。(文・菊田康彦)

(文中の今季成績はすべて6月22日終了時点)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。