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鳥居みゆきに千鳥ノブも お笑い芸人の“役者化”は誰得なのか?

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黒崎さとしdot.
ヒットエンドラーン!はもう見られない? 鳥居みゆき (c)朝日新聞社

ヒットエンドラーン!はもう見られない? 鳥居みゆき (c)朝日新聞社


■吉本興業が役者の養成を本格的に始動した理由

 一方、昨今ではお笑い芸人がドラマの狂言回しとして出演するパターンも珍しくなくなった。近年、ほぼ全てのドラマに芸人が出演するというクールもあり、最近は各局もさすがに自重気味のようだが、それでもNHKのドラマには今も多くの芸人が出演している。

「視聴率20%台を連発している広瀬すずさん主演の『なつぞら』に千鳥のノブさんが出演しており、ニュースになってましたね。ぶっちゃけ、演技のほうは芸人のときのまんまですが(笑)、むしろ狂言回しとしてはそれくらいがちょうどいい。今、千鳥は大ブレークを果たしているので、ここでちょい役でも出演してくれれば話題にもなります。年末の『紅白歌合戦』への出場も期待できますからね。同じく『なつぞら』には麒麟・川島明も出演していますが、川島も最近はドラマへの出演が増えて、独特の存在感のあるキャラで視聴者を魅了してます」(民放ドラマ制作スタッフ)
 
 実は吉本興業は最近、芸人のドラマや映画への進出を積極的に推し進めており、2018年には役者専門のプロダクション「よしもとアクターズ」も設立している。

「吉本興業は2009年の第1回から沖縄国際映画祭に協賛し、芸人が監督をしたり主演する映画を多数、出品しています。吉本興業は膨大な数の芸人を抱えているので正直、その出し先には苦慮しています。売れてない芸人を地方に住まわせて現地のローカル局やラジオ局、地元舞台などに出演させるなどの方策もとってきましたが、ドラマなどでの需要は『ある程度売れていた』ことが条件になる。そこで舞台なども積極的に運営して新たな活躍の場を育てていこうとしていますね。最近、大阪にできた最新鋭の劇場『COOL JAPAN PARK OSAKA』の運営にももちろん吉本興業が入っており、お笑いだけでなく演劇やミュージカルにも積極的に出資しています」(同)

 そんな吉本興業の中でもっとも存在感をみせているのが板尾創路(55)だ。

「ここ数年、板尾さんは役者としての仕事のみといった感じで、本人もインタビューなどで『最近のお笑いにはついていけない』といった主旨の話もしています。実際、若年層には板尾さんが芸人だったことを知らないっている人も多くなっていますしね。そんな板尾さんですが、最近ではNHKの大河『いだてん』などの大作に出演しているほか、今年も松本穂香主演の『おいしい家族』の映画への出演も決定し、すでにプロモーションでも完全に役者として稼働しています。さらに10月にはLDHに所属する俳優で脚本家の増本庄一郎さんと『THE BAMBISHOW』という舞台公演を予定するなど、作品の規模にかかわらず積極的に演技の仕事をこなしているようです」(前出の放送作家)

 かつて芸能事務所で芸人部門を担当したこともある、お笑い現場評論家のkenji氏は、芸人と役者の関係についてこう解説する。

「お笑い系の事務所の養成所にはたいてい演技コースがありますし、お笑いのカリキュラムの中に演技の授業も必ずあります。必ずしもというわけではないですが、演技ができなければお笑いはできないという面はあるんです。その中でNSC(吉本の養成所)さんでしたら、新喜劇の伝統やノウハウもあるので、それが現代になってテレビドラマや映画の狂言回しとして立ち回るのは、当たり前とも言えるわけです。一方、番組を制作する側から見ると、番組宣伝のときにお笑い芸人がいると、うまく場回しができたりするので重宝しているのではないでしょうか」

演技とコントは紙一重であり、コメディアクターとして不可分な部分があるもの。海外では、役者がお笑い的な立ち位置でエンタメショーを展開することも少なくない。日本のお笑い界も、新たなエンタメの可能性を視聴者に提示できるだろうか。(黒崎さとし)


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