審判の報酬はその苦労に報われるほどなのか (c)朝日新聞社
審判の報酬はその苦労に報われるほどなのか (c)朝日新聞社

 プロスポーツに欠かせない存在でありながら、スポットライトが当たるのはネガティブな話題ばかりという、ちょっとかわいそうにも感じられる存在。それが審判。特に今季は日本のプロ野球で『よそ見事件』などの騒動が開幕から頻発したこともあって、例年よりも、どちらかといえば悪い意味で存在感が高まっている。そんな苦労多き審判たちは、いくらくらいの給料で激務に就いているのだろうか。

 日本のプロ野球の審判について『年収ガイド』から引用させていただくと、2015年時点で一軍の審判は年俸750万円、二軍だと345万円。これに出場手当が付くので、一軍だと年収は1000万円を超え、二軍は400万円前後となる。

 これだけ見ると一軍審判は高給取りに思えるかもしれないが、1年契約の年俸制であること、定年が55歳(伸びても58歳前)であること、昇格までの下積みが長いことなどを踏まえ、ボーナスや退職金の有無も考慮すれば、生涯賃金は一般的なサラリーマンと比べてもそこまで大きな差はないと言っていい。

 そもそも審判になること自体が狭き門を抜けねばならず、日本野球機構が開校している「NPBアンパイア・スクール」で高評価を受けた受講者が春季キャンプなどで技能を磨き、最終的に毎年4人ほどしか採用されていない。そこからアメリカの審判学校への留学や二軍での下積みを経て、ようやく一軍の試合で審判を任されるようになる。つまりテレビなどで日常的に名前を聞く審判たちは、選び抜かれたエリートたちばかりなのだ。

 では、メジャーリーグの場合はどうなのか。『bleacherreport.com』の記事によると、2018年の時点で審判の最低年収は15万ドル(約1650万円)、経験豊富なベテランで45万ドル(約4950万円)だという。日本と比べると数倍の額ではあるが、それでもメジャーリーガーの最低年俸(2018年は54万5000ドル/約6000万円)には届いていない。日本のプロ野球には年俸1000万円以下の選手たちがそれなりにいることを思えば、メジャーの審判のほうが恵まれているとは一概に言いにくいものがある。

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メジャーに上るまでの長い道のり