水森かおり(撮影/三杉武)
水森かおり(撮影/三杉武)

 新時代「令和」が幕を開けたが、「平成」の後期にエンタメ業界や飲食業界で大きなムーブメントを巻き起こしたのが「ご当地」ブームだ。

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 今や全国的知名度を誇るご当地B級グルメの中には「平成」のブームによって脚光を浴びたり定着したものも多い。

 エンタメ業界においても、ブームの全盛期には「ゆるキャラ」ブームと相まって「ふなっしー」など数多くのご当地キャラクターがブレークし、地元密着型のご当地アイドルやご当地ヒーローなども注目を集めた。

 
 一部の人気となったご当地グルメが各地方で文化として定着する一方、こうしたブームも「平成」の終わりとともにだいぶ沈静化しつつあるようだ。

 そうした中、地道な活動と実力で一過性のブームではなく、今なお輝きを放ち続けているのが “ご当地ソングの女王”こと演歌歌手の水森かおりだ。

 平成7年に『おしろい花』でデビューした水森は、平成11年に青森県東津軽郡にある竜飛岬を舞台にした『竜飛岬』をリリースしたのを皮切りに、自身の飛躍のキッカケとなった『東尋坊』(平成14年)、初出場の紅白歌合戦で披露した『鳥取砂丘』(平成15年)など、これまで数多くのご当地ソングを歌ってきた。

「平成」最後の年となる2019年も、日本三大桜の名所の一つである高遠城址公園などがある長野・伊那市を舞台に、恋に破れた女心を歌い上げた『高遠 さくら路』を1月にリリース。

 オリコンのシングル総合ランキングでは演歌としては異例となる16作連続で初登場トップ10入りを果たして女性演歌歌手として歴代最多記録を更新したが、これまで歌い上げた「ご当地ソング」は、1都1道2府39県で楽曲は101曲にも及ぶ。

「令和」での“全国制覇”も現実的だが、取材現場でそのことに水を向けたところ、当の水森本人は「まだまだです。都道府県では43ヵ所ですけど、市町村で言ったら全然なので。それにシングル(の表題曲)でとなると80歳近くまで頑張らないといけませんし。でも、頑張りたいなと思います」と謙虚に語る。

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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