近年は新規の登録者数が減少傾向にあり、最新のデータでは平均待機期間は約14年8カ月で、以前より少し短くなっています。

 献腎移植は、生体腎移植と異なりドナーと血液型が一致、HLA型が複数一致することが条件です。血液型不適合やHLA不適合移植には術前の処置が必要なため、時間との闘いになる献腎移植では実施が難しいのです。ドナーがあらわれた場合、こうした条件と待機の順番、地域、大人か子どもかなどが総合的に判断され、レシピエントが公平に決まります。

 腎移植は透析導入後におこなわれるのが一般的でしたが、近年は移植腎生着率や予後がいいことから、透析導入前に移植を実施する「先行的腎移植」が積極的に実施されています(献腎移植においても希望することが可能)。

 生体腎移植ではドナーの意思が最も大事な確認事項の一つで、自発的で見返りなく、善意の腎提供が条件です。ときに精神科の医師をまじえて、複数回、確認をしていきます。なお、ドナーの健康チェックなど、実際の移植までに初診から数カ月から約1年かかります。希望する場合は早めに相談しましょう。

 生体腎移植ではまず、ドナーの腎臓摘出手術をおこないます。からだに負担をかけない腹腔鏡手術が一般的で、片側の腎臓から動脈、静脈と尿管を切り離し、処置をします。全身麻酔下で約3時間程度かかります。まれに出血などの合併症が起こりますが、経過がよければ約1週間で退院できます。
 レシピエントの手術は通常の外科手術でおこなわれ、約4時間かかります。術後2~4週間程度で退院となります。

■移植後は免疫抑制剤を欠かさずに服用する

 献腎移植のレシピエント候補になったという連絡はある日突然、やってきます。移植手術はドナーの腎臓摘出後48時間以内に実施しなければならず、風邪などをひいていると受けることができません。

「そろそろ順番かもしれない」となったら、移植を受けるという強い心構えで日々の生活を送ることが大事です。

 腎移植後は感染や拒絶反応の対策が重要です。日本移植学会によると移植後5年後の生着率は94%(生体腎移植)、88%(献腎移植)です。きちんと免疫抑制剤を服用することで移植腎生着率が高まることがわかっています。

(文/狩生聖子)

※週刊朝日ムック『「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』より