下馬評をくつがえす成績を残している中日・与田監督 (c)朝日新聞社
下馬評をくつがえす成績を残している中日・与田監督 (c)朝日新聞社

 桜の季節が過ぎ、プロ野球は開幕からもうすぐ1カ月が経とうとしている。巨人ヤクルトが好スタートを切ったセ・リーグのなかで、広島の不振とともに予想外の驚きを与えているのが、与田剛・新監督率いる中日の健闘ぶりである。4月23日、開幕20試合を終えた時点で11勝9敗と貯金を作り、首位・巨人と2ゲーム差の3位。開幕前の順位予想では最下位とする識者が数多くいたなか、特に4月10日以降は7勝3敗と調子を上げ、堂々たる戦いぶりを見せている。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは?

 まずは打線だ。昨季にアベレージヒッターに変貌を遂げた平田良介が1番に入り、2番には2年目のジンクスからの巻き返しを図る京田陽太、そして3番・大島洋平、4番・ビシエドの上位打線4人が打率3割以上をマークし、その後にアルモンテ 、高橋周平、堂上直倫、さらに福田永将、阿部寿樹らが加わって下位打線を構築する。チーム打率.281は、巨人(打率.278)、ヤクルト(打率.248)よりも頭一つ抜き出た形でのリーグトップを誇っている。

 ただ、昨季もヤクルトのチーム打率.266に次ぐリーグ2位の打率.265を残しており、打撃陣の能力は低くなかった。それが今季、より勝利へと繋がっているのは、盗塁数と犠打数の大幅増が大きく影響している。

 昨季はリーグワーストの61盗塁(1位広島が95盗塁)、リーグ5位の86犠打(1位のヤクルト、広島が109犠打)だったが、今季はここまで16盗塁(2位の阪神が10盗塁)と18犠打(2位の阪神が15犠打)で、ともにリーグ断トツ。これを143試合で換算すると「120盗塁&130犠打」という数字が見えてくる。昨季リーグ最高のチーム守備率.991を誇った堅守は今季も健在で、ここまで失策数5はリーグトップ(リーグワーストが広島の23失策)。言うなれば、与田版のスモールベースボールと表現できるだろうか。

 投手陣もいい意味で予想を裏切っている。

次のページ
予想外の健闘のなかでも注目すべき選手は…