開幕前には松坂大輔、小笠原慎之介、藤嶋健人、鈴木翔太と離脱者のニュースばかりが目立って「危機的」とされていたが、蓋を開けてみれば笠原祥太郎(4試合2勝0敗、防御率2.75)、柳裕也(4試合2勝0敗、防御率2.73)の若手2人に、山井大介(3試合2勝0敗、防御率2.87)、ロメロ(2試合2勝0敗、防御率1.50)の計4人が2勝ずつをマークして防御率2点台だ。

 さらに大野雄大も復活勝利を挙げるなど4試合で1勝1敗、防御率2.60の安定感を示し、チーム防御率3.32は首位巨人に次ぐ成績。先発陣がしっかりと働いて僅差のゲームに持ち込むことで、盗塁、犠打を用いた攻撃も、より一層効果的なものになっている。

 この予想外の健闘ぶりが目立つ中日で選手一人を語るならば、大卒5年目の26歳・加藤匠馬を挙げたい。昨季2軍戦で盗塁阻止率.429をマークした強肩キャッチャー。過去4年間で1軍出場5試合のみだったが、今季は大野奨太、木下拓哉、杉山翔大の先輩ライバルたちを差し置いて開幕から「8番・捕手」としてスタメンマスクをかぶると、4月13日の阪神戦で猛打賞をマークするなど、ここまで15試合(スタメン14試合)に出場して43打数13安打の打率.302をマーク。リード面でも経験を積みながら前途の先発投手陣の白星獲得に貢献している。

 伊東勤ヘッドコーチの下、加藤がこのまま正捕手として成長し、不動の存在になることが、“与田竜”の安定した戦いへと繋がることになるだろう。Aクラスだけでなく、首位も射程圏内につける中日。今後も予想を裏切る戦いを続けられるか。その可能性は、開幕1カ月で十分に感じさせている。