一般的には、生徒にグループディスカッションやディベート、グループワークをさせるという手法が用いられます。しかし、開成の場合、授業で、「なんで?」「もしかしてこういうこと?」と声がこぼれたり、すっと腑に落ちて「ああ、そういうことか!」「わかった!」という声が上がることが当たり前で、それはすでにアクティブラーニングとなっているのです。

 多くのことを学校で学びますが、それを静かに聞いているだけでは、受け身のため頭が働かず定着しません。定着させるには、頭の中に入ってきたものを表現する必要があるのです。

■勉強だけしていればOKではない

 開成では自由な雰囲気の下、運動会や文化祭などの行事は生徒が自主的に責任をもって運営しています。一つの目的に向けてチームで行動する方法を自主的に学んでいるのです。

 また、中高一貫校のため、先輩が後輩の面倒を見て、後輩は先輩を慕うという形ができやすく、さらに、OBと触れ合うチャンスも多いので、幅広い人間関係を築けます。

 社会に出てからも活躍するためには、まず「自分の居場所」をつくることです。今いる、自分が時間を過ごしている場所で、どれだけ自分が心地よく、居心地よくいられるかは自分次第です。いわば、適応力であり生活力でもあります。そうした力をつけるには、集団行動の中で責任感を培ったり、幅広い人と触れ合う経験が重要なのです。

 たとえば、各家庭の中でそれを実践しようとするのなら、子どもに家の手伝いをさせるのも一つの方法です。

 はじめのうちは遊びの延長で親も一緒に、そして徐々に子どもを主体にし、ほめながら手伝う内容をスキルアップさせていきます。「ほめて育てる」というのが大事なポイント。叱って育てれば子どもは萎縮し決して伸びません。

 そしてしっかりできるようになったら、「これはあなたの役目です。やってね」と伝えることで、子どもは家族の一員として組み込まれることを誇りに感じ、自信につながります。

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塾通いが始まると習い事をやめさせてしまう家庭も…