6位の吉田、7位の杉山はドラフト上位指名での入団だが、ともに来年以降の戦力となりそうだ。吉田は昨年夏の甲子園を沸かせたスターで、上背はないものの手元で浮き上がるようなストレートと高い制球力が光る。ただ速いだけでなく、カウントや場面によってピッチングを変えることができ、打者との駆け引きや投げる以外のプレーのレベルも高い。プロの環境に慣れれば、比較的早い段階から先発ローテーションに入ってくると見る。

 杉山は社会人出身で、高卒3年目でのプロ入りということもあってまだ完成度は高くないが、スケールの大きさはピカイチ。190cmを超える長身ながらフォームのバランスが良く、コンスタントに150キロを超えるスピードをマークする。キャンプ中に右足首を捻挫してスタートは出遅れたが、焦ることなくしっかり治して夏場くらいでの一軍デビューを目指してもらいたい。

 9位の高橋は2年目の右腕。アンダースローだが、好調時には140キロを超えるスピードがあり、打者の手元で伸びるボールが持ち味。昨年11月に行われた日米野球で侍ジャパンにも選ばれている。なかなかいないタイプだけに、稲葉篤紀・日本代表監督からの注目度も高いだろう。10位の岩下はプロ入り1年目のオフに右肘のトミー・ジョン手術を受けたこともあって二軍暮らしが続いたが、4年目の昨年に一軍デビューを果たした。最速150キロを超えるストレートが武器の本格派らしいピッチングが持ち味。先発、リリーフともベテラン頼みのチームだけに、今年はブレイクに期待がかかる。

 セ・リーグに比べると上位はルーキーが多い結果となったが、これはリーグ全体で抜擢が早い証拠とも言える。昨年も育成枠から大竹耕太郎がいきなりローテーション入りを果たしたが、そのような選手が出てくる可能性も十分に考えられるだろう。今年もそのような新星が一人でも多く飛び出してくることに期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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