続くのが松本と甲斐野の大学出身のドラフト1位右腕二人だ。松本は150キロを超えるスピードだけでなく、コーナーに投げ分けるコントロール、多彩な変化球、緩急を使う投球術など全てが高レベルの先発候補。大学日本代表として国際大会の経験が豊富なのも頼もしい。シーズン開幕直前に肺炎で離脱して二軍スタートとなったが、順調に回復すればローテーションの一角を担う存在になりそうだ。

 甲斐野は160キロにも迫るスピードが持ち味のリリーフタイプ。大学でも主に抑えを任せられており、ストレートと鋭く落ちるフォークのほぼ二つの球種で打者を牛耳っていた。オープン戦では少し不本意な投球もあったが、抑えのサファテが故障からの復帰途上でリリーフ陣に不安が残るだけに、チームからかかる期待も大きい。

 4位に入った安田は2年目のスラッガー。昨年は二軍で経験を積み、チームトップの108安打、12本塁打(香月一也と並んでタイ)を放ち、素質の片鱗を見せた。106試合で104三振を喫するなどまだまだ脆さはあるものの、タイミングの取り方やトップを作る動きに無駄がなく、技術的なレベルは決して低くない。レアードの加入でサードのポジション争いは厳しい状況だが、将来を考えるなら外野やDHなど他のポジションでもぜひ起用してもらいたい大器である。

 安田と同じく2年目のスラッガーで注目したいのが岩見だ。大学4年時にはホームランを量産し、東京六大学で高橋由伸(元巨人)、田淵幸一(元阪神西武)に次ぐ歴代3位となる21本塁打を放って注目を集めた。ルーキーイヤーの昨年は24打席ノーヒット、14三振とプロの壁にぶつかったが、二軍では14本塁打を放つなどその長打力を見せつけた。慢性的に外国人頼みの打線となっているだけに、岩見の成長がチームに与える影響は非常に大きいと言えるだろう。

 岩見とともにチームの顔となるべきと期待されているのが5位の辰己だ。外れ1位ながら4球団が競合した外野手で、関西学生リーグでは田口壮(元オリックスなど)に次ぐ歴代2位となる通算122安打をマークしている。細身だが長打力も申し分なく、左方向へも大きい当たりを打てるのが長所。さらに運動能力の高さは抜群で、ベースランニングのスピード、外野から見せる返球も迫力十分だ。1年目の今季から外野のレギュラー争いに入ってくる可能性は高い。

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