投手でトップの評価となったのがDeNAのドラフト1位ルーキー上茶谷。3月7日の中日とのオープン戦では4回をパーフェクトに抑えるなど、即戦力としての期待に応えるピッチングを続けており開幕ローテーション入りは確実視されている。150キロに迫るスピードもさることながら、コーナーを突く制球力とコンビネーションで試合を作る能力が高く、今年の新人王という意味では筆頭候補と言えるだろう。

 4連覇を狙う広島からは3年目の床田とドラフト2位ルーキーの島内がトップ10入りとなった。床田はプロ入り1年目の一昨年に一軍で初勝利をマークしたものの、その後左肘のトミー・ジョン手術を受けて昨シーズンの夏場にようやく復帰を果たした。今年はキャンプから好調でオープン戦でも好投を見せて開幕ローテーション入りをつかみとった。チームにとっては待望の左の先発投手である。島内は150キロを超えるスピードが武器の本格派右腕。大学の先輩である大瀬良大地に雰囲気の似たフォームで、数字に見合うだけのボールの威力がある。中継ぎの一角として一軍に定着する可能性は高い。

 広島を追う巨人は高田、大江、高橋の投手陣3人に対する期待値が高い。高田は昨シーズン二軍で11勝をマークした先発候補。まだまだ細かいコントロールには課題が残るものの、若手らしい活きのいいピッチングが持ち味だ。大江はリリーフとして期待されるサウスポー。キャンプ、オープン戦でも無失点の好投を続けており、中継ぎの一角を奪う可能性が高い。ドラフト1位ルーキーの高橋も高い期待に応えて結果を残し、開幕ローテーション入りが有力となった。サウスポーらしい角度のあるストレートとブレーキのあるチェンジアップが武器で、高い奪三振率が魅力だ。エースの菅野智之に次ぐ存在が手薄なだけに、彼ら成長がチームの将来を左右することは間違いないだろう。

 今年の新人王という視点で見ると先述したように上茶谷が筆頭候補で、村上、塩見のヤクルト勢と近本、木浪の阪神勢がそれに続く存在と言える。しかしそれ以外の選手も来年以降の新人王レースに加わる可能性は十分にある。今年だけでなく、数年後も考えてランキングを楽しんでもらえるとありがたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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