「AIか何かと結婚したのかと思ってしまう」30代の妻が口にする理由とは?(写真:getty Images)
「AIか何かと結婚したのかと思ってしまう」30代の妻が口にする理由とは?(写真:getty Images)

「うちの夫は感情がない」。そう思っている妻は意外に多いという。カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「感情がないと言われる夫」について解説する。

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 卒業式・卒園式シーズンは、同級生や家族と写真を撮ることが増える時期ですが、先日、こんな話を聞きました。

 保育園の卒園謝恩会の打ち合わせで、先生たちと同級生一同とその家族で集合写真を誰が撮影するか、という段取りの話になったときに、あるお母さんが「うちの旦那にやらせる」と言いました。他のお母さんが「それじゃあ、〇〇ちゃんのお父さんが(映らなくて)かわいそうじゃない」と言ったら、「うちの旦那は感情がないから大丈夫」と声を上げたそうです。そしたらなんと、何人かのお母さんが「うちの旦那も感情ない」言い出して、ひとしきり盛り上がったそうです。

 感情がないなんてことがあるのか、と思うかもしれませんが、実はカウンセリングではそんな話をよくお聞きします。

 夫が人間とは思えない、ロボットか何かのようにしか思えないといっておいでになった、結婚3年目の秋帆さん(仮名、30代前半、事務職)は、訴えます。

「この人には感情ってものがないんです。私が死んだって眉一つ動かさない人なんです」

 夫の博隆さん(仮名、30代後半、営業職)は、冷静にこう言います。

「そんなことありません。私だって、妻が亡くなれば悲しいですし」

 秋帆さんは

「いつもこんな調子で、感情なく『そんなことない』ってただ的確に業務を遂行するだけなんです。すごい象徴的だったのは新婚旅行の前日に私が高熱を出してしまったんですけど、『大丈夫?』の一言もなく、淡々と旅行代理店に電話してキャンセルして、そのうえ翌日からは私が寝ているのに何事もなかったかのように会社に行ってしまったんです。私みじめで……。なんか、私、ロボットかAIと暮らしているような感じです」

と興奮した様子です。

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西澤寿樹

西澤寿樹

西澤寿樹(にしざわ・としき)/1964年、長野県生まれ。臨床心理士、カウンセラー。女性と夫婦のためのカウンセリングルーム「@はあと・くりにっく」(東京・渋谷)で多くのカップルから相談を受ける。経営者、医療関係者、アーティスト等のクライアントを多く抱える。 慶應義塾大学経営管理研究科修士課程修了、青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。戦略コンサルティング会社、証券会社勤務を経て現職

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夫「最初の失敗でずっと責められる」