田村耕太郎さん
田村耕太郎さん

人をたばねるのは一苦労(※イメージ写真)
人をたばねるのは一苦労(※イメージ写真)

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、70万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「指示待ちのアホ」について。

*  *  *

【相談】今、あるプロジェクトのリーダーについています。皆に自発的にどんどん前のめりに動いてほしいのですが、いかんせん、部下が動きません。

 とにかく指示待ちで、自分の頭で考えて動いてくれません。自発的どころか、指示を出したことすらモタモタモタしている始末。そういったこともあり自分ばかり遅くまで残って処理をしているのに、定時でさっさと帰っている者も……。でもこのご時世で「残業しろ」ともいえず、とにかく困っています。

 モチベーションの低い人には、どんな働きかけをするのが効果的でしょうか? そして自発的に考え、動いてもらうにはどうしたらいいでしょうか。

■世界のリーダーたちも悩んでいます

 まずは、自分だけがこのような問題で苦しんでいるという被害妄想から脱して楽になりましょう。

 日本は結果を出すことより調和を優先するというような教育が、リーダー層にまでされています。日本をリードすべき大企業にまでそのような雰囲気が蔓延していて、指示待ちの人が世界より多いかもしれません。

 しかし、日本国外で働いてみてわかったのは、やはり海外でも能動的に動ける人はほんの一握りだということです。多くの方が指示待ち、またはそうでない人は自分の判断で暴走しがちな傾向があるように思います。

 つまり、自分の都合いい塩梅で能動的に成果を出してくれるような部下を持てることはほとんどないと思ったほうがいいでしょう。世界中の多くのリーダーが、同じようなことで頭を悩ませています。

 モチベーションを高くして働いてもらうには、機会を与えるしかありません。成功体験を持ってもらうのです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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